【芝居】「カミグセ 短編集Vol.1」カミグセ
2016.8.27 14:00 [CoRich]
女性二人のユニットによる二人芝居の短編みっつ。横浜での公演がありがたい。28日まで75分。STスポット。
熱があって寝ている女、同居している彼氏は薬を買うといってけっこう前に出て行ったきり。目を覚ますと黒服の知らない女が居て死神だと名乗る。「タナトスのガールフレンド」(レベッカ 篠原千夏 原案/辻本直樹)
娘が帰宅すると膨大な洗濯物が取り込まれたままに広げられていて、家を出られなかった父親の姿はない。母が仕事から帰宅する。
「ちちとちとちち」(中村佳奈 森かなみ)
スーツを着て出て家を出た男、女は昼寝ばかりしている。
放課後、グランドを整備して帰ろうとする夕方、文芸部の男に話しかけられる。SFの物語について意見を求められたりしてちょっとうれしい。
あれから。男はまだ小説を書いているが売れない。二人は結婚している。職安に行くのは女はうれしくない。
「砂埃立つ、遠き水辺で」(中西崇将 渕上夏帆)
STスポットにシンプルな舞台、独立した三つの物語を順に上演します。
「タナトス〜」は死神を名乗る女と恋人を失いたくない女の物語。下請けの若い死神という設定で、たとえば個人情報の扱いなど現代っぽく若者を描く軽快な会話が楽しい。ちょっとダメ男だけれど、ホントに彼の事が好きなんだ、という感覚が恋人の死を目前に控えながらも貴みょに同居する感覚が独特で印象的。
「ちち〜」は仕事を辞めて家に居る父親は舞台には登場せず、家計を支える母親と大人と子供の境界領域にいる娘の会話。父親の性欲の話やら地味なスポーツブラしかしない娘のことやら、洗濯物を畳みながらの二人の会話で浮かび上がるのは、今の父親はあんまり働けない感じだけれど、ことさらにそれを頑張るでもなく日常を「暮らしていく」ことを続ける家族の姿なのです。派手さはないけれど、とても強固に結ばれた家族にちょっとほんわりするワタシです。
「砂埃〜」は現在の夫婦を外側に配置しつつ、その内側に高校生の時のおそらくは恋するきっかけとなった放課後の二人の少しばかり甘酸っぱい会話を描きます。あの時があって、小説家になりたいという男とそれを支えたいと思った女が結婚した現在、まだ小説はモノになっていないけれど、「モノを書いてる男が好き」なのだという女の気持ち。気持ちはともかく現実問題としてそれでいいのか、という感じではあるのだけれどそれは、美しい風景で、時間が経っても変わらずあの放課後のままで、ピュアであまりに眩しいのです。
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