【芝居】「子どもたちは未来のように笑う」遊園地再生事業団+こまばアゴラ劇場
2016.9.17 14:00 [CoRich]
何世代かにわたる、妊娠や出産、子供を巡る物語。29日まで110分。
情熱的で、世界中でこの一組しかセックスをしいていなかった奇跡の15分の奇跡の子供。時代は進んでその娘。羊水検査によってダウン症を持つことがわかる。産むか産まないかの決断、あるいは子供が欲しくても得られない夫婦、経済的にどうにもならない不満、子供ができても慌てるばかりの父親たち。
シングルマザーだった母親とセックスだけの関係だったはずの男との間に「15分の奇跡」で「特別な子」として生まれた女、その娘が出生前診断によって高い確率で障がいをもっていることがわかった、ということを物語の軸にして、男と女の恋愛から子供を作る作らないの意志、あるいは不妊ほいことや、出産に対して為すすべのない父親などを描きます。
子供どころか未婚、しかも男のアタシにはある程度までは理屈で理解した気になってもやはりどこかベールの向こう側という繊細な題材なのだけれど、冒頭のセックスの描写にしても全体としてはコミカルな体裁で短い断片をつないで構成されていて、見やすくつくられています。
障がいを持っていても産むべきかどうか。もちろん産む当事者たちにとっての切実な話だけれど、その外側の社会が支えられるかどうかということももう一つの視点で「障がい者産んでどうするの」という言葉の「正しくない」ことを断罪するのは簡単だけれど、丁寧に人々の背景を描いて補強する作家はもうひとつ踏み込みます。 それは、この言葉を発したのが奨学金とはいえ(大学にまじめに通ったにもかかわらず)借金で首の回らない状態で見知らぬ「障がい者」に使われる税金を払う余裕はないという彼女自身の切実さは、社会がそれを支えなくなりつつある、という現実の一つを突きつけるのです。
母親を演じた松田弘子、序盤であの手この手なセックスの、しかしちょっとばかりコミカルなシーンがいい。大村わたるはコメディとしての高いテンションをきちんと出し切るちから、鄭亜美の胸元が気になるなと思ったらそれを見透かすかのような台詞、思うつぼなアタシです。
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