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2016.09.14

【芝居】「耳の奥で王様が笑う」(D)第27班

2016.9.3 17:00 [CoRich]

4ブロックで構成される企画公演のDブロック。70分。4日までシアターミラクル。

かつては家庭教師であった男は長年の夢を叶えて花屋を営んでいる。偶然訪れたかつての教え子は美しく成長し、常連となりやがて恋人となるが、突然別れを告げられる。
ファミレスのバイトの女たち。一人が小説家として賞をとり、バイトをやめるための送別会だが、友達は少なくスネがちで人数は少ない。空気が読めずにデリカシーがなく未来に自信満々な女子高生、結婚を控えた彼氏が風俗に通っていることがわかった女、アラフォーのシングルマザー、クズ男だった彼氏の息子を育てている。

送別会の女四人のちょっと下世話な会話、オラ男彼氏に夢中で自覚のない女子高生含め、男とか恋愛は決して順調ではない女たち。それぞれの恋愛事情の背景を描くこちらの物語が実はベース。並行してもうひとつ、花屋と恋人の話は静かにしかし美しく紡がれます。

終盤に至り、シングルマザーの子供の父親はずっと意識不明のまま何十年も経っていて、それを看病し続けていることがあかされて、並行して語られていた美しい物語はその眠り続けている男がずっと見ている夢だったのだという構造になっています。果たして目覚めはするけれど、それまでの自分の裏腹な美しい世界から戻ることを拒否する男抱きしめる女。明確にはこのあとの二人は描かれないけれど、きっとへこたれることなく戦い続けているだろうと思わせる力強さがあるのです。

四人の女たちの送別会からそれぞれの人生を語ってる話はそれぞれの年代のものとして描かれるけれど、実際のところシングルマザーの物語だけが物語の構造の中で意味を持っていて、実は他の三人の話がなくても構造としては成立してしまいそうなのが惜しいといえば惜しい。もっとも、アタシには女たちの年齢グラデーションになっているこの四人の物語がいとおしくて楽しくて、こちらのおかげで見続けていられる、という感じではあるのですが。

シングルマザーを演じた松永直子は物語の構造があかされてからの、重ねた年齢ゆえの力強さがカッコイイ。空気読めないうえにやたらに強気の女子高生を演じた新井千遥はウザったいほどの破壊力が印象的。

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