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2016.08.14

【芝居】「復讐と美味しい料理は後を引く」競泳水着

2016.8.6 19:00  {CoRich]

中学のいじめが原因で友達を作らなかった女は大学に入ってできた親友の結婚式の二次会の挨拶を頼まれる。その親友は別の友達を紹介したいという。それは中学で自分をいじめていた女だった。 初めてのリーディングといいますが、(別レーベル名義とはいえ)たとえばIn her 20's( 1, 2) はある種のリーディングだったように思います。観てみれば、今作もリーディング以外ではどうやって成立させるんだろうというぐらいに、こういう上演形態がぴったりあう気がします。

基本的には彼女の視点、もしくは客観の視点で物語を進めます。 膨大な台詞のほとんどは、いじめられていた女の内面に割り当てられています。ふつうに生きていたはずの中学生の日常に突然現れた悲劇から始まり、初めての親友、そして憎き宿敵へのあり得ない再会という流れは早々に見えるけれど、60分の芝居でそれだけでは終わりません。恨みはらそうとクラウドの秘密を暴きうまくいったかに見えたその先にいくつもの山場を畳みかけるのが上野節。

女性を描かせるとやけに巧い作家ですが、今作もその絶妙さはかわりません。口には出さないけれど、互いのマウンティングであったり値踏みする感じ。 イマドキらしく、フェイスブックの友達申請をするかしないか・承認するしないの距離感であったり、あるいはクラウドの流出を通して過去が見えるばかりじゃなくて恨んでる筈のワタシと趣味が同じじゃないかということに気付いたり、みたいなさまざまの盛り込み方が巧い。

恨み晴らさずいられようか、ということの着地は毒殺を匂わせつつ、ちょっと尾籠な感じでコミカルに。もう一押し、そういう拘泥が自分に戻ってくるというのもまたコミカル。

恨みをどうしても忘れられないということを単に頑なにそう思ってるというだけで片付けずに「説明」する細やかさもいいのです。「あの時に孤独になってしまったアタシを今のアタシが抱きしめるしかない」という台詞(言葉違うかもですが)が心にしみいるのです。

終盤、結婚する女の視点のシーン。「(いじめられてた女は)なんでモテないんだろう」と、「(いじめてた女は)男にはもてるんだけど、アタシだったら恋人にするのは無理」という冷静さが、ちょっと意地が悪い感じもするけれど、女友達の値踏み感が面白いと感じるアタシです。

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