【芝居】「だせぇ」艶∞ポリス
2016.7.30 13:30 [CoRich]
ファッションブランドの新店舗をめぐる物語、95分。7月31日まで駅前劇場。
ハイブランドで老舗の婦人服ブランドが新たなサブブランドを立ち上げて、その旗艦店でのオープニングレセプション。雑誌編集長やドラマ脚本家など業界人が招待されて、無事に終わるかと思われたが。
ワタシにはほぼ無縁なおしゃれ業界な話。奇っ怪な服に身を包んでいたり、ノリが独特な業界人たち、あるいはブランドに心底惚れ込んでいたり、この業界を渡り歩いている店員だったり。華やかではあるけれど、これもまた一つの仕事場、そこで働く人々を描くのです。
作家が人々を少しばかり意地悪く描くのはそのままだけれど、もうこのフィールドからは退場するざるをえない人々を描いているのはこの作家には少々珍しい感じがします。。その退場する側にむしろシンパシーを感じるアタシです。 盤石に見える婦人ファッション誌の廃刊、その編集長だってもう退場すべきだということを自覚していること。あるいはその編集長が指摘する、ラクジュアリ指向が持ち味のハイブランドなのに、ブランドに迷走が感じられることだったり。
ダンスをするか寄付をするか、あるいは両方か。アイスバケツチャレンジのような、セレブだけが共有するコミュニティの存在も巧い描き方で、なんかありそうな雰囲気。あるいは、 山田良子というデザイナーをでっち上げてプロフィールをチラシ裏などに載せる遊び心にひと味足してあって、埼玉県出身、池袋に現ブランドの旗艦店という絶妙な嘘は、きっとたたき上げて必死でここまでやってきたのだなと思わせる説得力を背景に描き込むのです。
SNSに写真を上げるからと服を貰ったり、あるいはクレームばかりを言ってくる客の描き方も少々意地が悪い感じで楽しい。 その客に対して正しいコトを正しいと言い続け、きっちり一本筋の通っている店員を演じた上田遥がカッコイイ。あるいは、ファッション誌の編集長を演じた伊藤美穂は、コミカルなところも目一杯だけれど、鋭くブランドに指摘するシーンはきりっとした感じはめずらしい気がします。カリスマ主婦を演じた小園茉奈は、高校の同級生で店員を演じた岸本鮎佳との二人のシーンが何カ所かあって、実のところ物語の本筋ではないけれど、このマウンティングの応酬の迫力が凄い。
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