【芝居】「彼らの敵」ミナモザ
2016.7.23 14:00 [CoRich]
アゴラでの2013年初演、 2015年再演に続く三演も同じキャストで、大きな舞台での上演。 兵庫を経て、7月26日までKAAT。
物語に流れる静かな怒りの感情を丁寧に描いた今作、同じ作家の「エモーショナルレイバー」での社会で起きていることを丁寧に描く、という作家の信頼感。アタシが最初に観て、長い間ミナモザの傑作と思い続けていた「日曜日の戦争」も、今から思えば現実を目撃した作家が描いた地に足が付いた作風なのです。
コンパクトな劇場での二回の上演を経て大きな劇場での上演。ほぼプロセニアムのような一方の客席というのが大きな違いですが、まるでカメラのフレーミングのように、観るべきところを切り取って見せるのは、この物語にとって、見せ方の大きな転換点になりそうです。広い舞台なので、両端にあるテーブルやテントの距離が広かったことは濃密さの点では薄まるけれど、あまり大きな問題ではありません。中央に白い円があるのはこの広い舞台に中心を作るようで、効果的なのです。カメラマンだったり、あるいは女性ライターだったりが真ん中に持っている芯を象徴的に感じさせます。結果として大きな劇場からコンパクトな劇場まで上演できるバリエーションがあるのは確かな強み。
2015年夏からの変化といえば、週刊文春の世間だったりアタシの中での立ち位置の変化で、これはかなり違う感じに見えてくるのです。スクープがこれだけ連発できるということは、今作のようなリスクを値踏みしてリリースする、みたいな(良くも悪くも)ある種の決断をする力のある組織だといことも改めて思うのです。
作家にとってのもう一つのマスターピースになったと思うのです。 もっとも、ここまで全く一緒の役者で上演できたということはちょっとした奇跡で、この座組での上演ならもちろん安定しているけれど、役者や演出が変わったときにどう変化するかということは不安も、あるいは楽しみもあるのです。
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