【芝居】「彼は波の音がする」キャラメルボックス
2016.8.13 12:00 [CoRich]
二本立てで上演される夏ツアーのもう一本。こちらは男を主役に据え、もう一本では見えていない天使役として福澤朗を客演に迎えています。120分。14日までサンシャイン劇場。そのあと、大阪。
大学時代からの友人が監督として初めて映画を撮ることになり、無名ながら主演を射止めた男はまだいきるはずだったのに天使の手違いで亡くなってしまう。天使の計らいで別に亡くなった男の体を借りることになるが、その男の自伝を書くために取材していたゴーストライターに背中を押され、役者の夢を実現しようとする。
もう一本と同じ時間と物語を共有しつつ、 友人の撮る映画の役への強い執念を持つ役者の側の視点から描きます。それは次々と起こる困難に対してどこまでもあきらめない男の物語。使者の中に別の人の魂が入り込むという「設定」の表現がもう一本とは異なっていて、「中身の魂の人物」の役者が演じるようになっています。もう一本と別の役を演じる役者も居たりして、続けて観ると、少々戸惑う感じもありますが、あまり大きな問題ではありません。
切り開き、物語を進めるという意味で推進力が強いのは今作で、そういう意味で一本で独立して観た場合のおもしろさという点ではこちらの方に強みがあるように思います。正直に云えば、二本立てのタイムテーブルが少々特殊で、たとえば大阪の公演では週末にはこちらが上演されないようになっているのは、正直どうかと思ったりします。客演の都合という気もしますが、それは上演する側の都合であって見る側には関係ないことなわけなので。
いわゆる男同士がヤケに仲のいい「(性的な意味を含まない)ホモソーシャル感」というかバディ感はとても好きな感じなのだけれど(演じる畑中智行、、三浦剛がとてもいい)、そこに「二丁目のアルバイト」という設定を付けるのはいわゆる「アウティング」で少々やり過ぎた感があって、違和感があります。こういうところはわりと繊細に捕らえる劇団なのだけど、ちょっと意外な感じでもあります。
今作においては一歩引いた位置に立つヒロイン・実川貴美子の可愛らしさみたいなものはこちらの方が濃厚に出ていて、もうね(以下略)。あくまでヒールで居続ける林貴子はここまで徹底するとちょっと奥行きがでてきて、むしろもうちょっと物語が欲しくなっちゃうのは痛し痒し。
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