【芝居】「天一坊十六番」青年座
2016.6.19 13:30 [CoRich]
青年座劇場のこけら落とし公演として1969年に上演された「天一坊七十番」(もちろん未見)、有償パンフには「西暦の下二桁をつけて」ということで「〜十六番」として上演。20日まで青年座劇場。休憩15分を挟み170分。当パンが安いのはありがたいけれど、それを買わないと配役は青年座のサイトでしか判らないのは痛し痒し。
将軍吉宗の落とし胤と名乗ってあちこちで人に穏やかに声をかけ、ついてきなさい、と言って人を集めていた男の物語。それを描く作家は知り合った外国人もまた、ただならぬ人物の隠し子なのだと聞き、重ね合わせるように物語を紡ぐが、どうにも前に進まない。
尊敬される人、市井の人かと思っていれば、ご落胤という箔も付いて、人を集めつつあればそれはもしかしたら、幕府にしてみてれば恐怖を感じる人。天一坊と、「てのつくひと」を重ね合わせて、スキャンダルなのかあるいは怪しさなのか。人垂らしは人がのし上がろうという野心、自身が持ってるから付け込めるというごくシンプルなこと。あるいは、男には後ろめたいことがありがちだ、ということを組み合わせ、嘘と秘密で、それに翻弄される人々という物語。ところどころ、ちょっと説教調だったり時代観が顔を見せるのは、時代ゆえなのか、作家の個性なのかはわかりませんが、それを緩める瞬間もあるのは演出のちから。
生演奏を組み合わせ、賑々しい序盤や終幕は祝祭感に溢れていて楽しいのです。決して若い役者ばかりではないけれど、わりときっちり踊れる役者がいいのです。天一坊を演じた横堀悦夫、「外交官」「俺の酒が呑めない」とハズレがない確かな力を感じるのです。作家を演じた津田真澄はちょっと拗ねた感じだったり、時に少女のような瞬間が見え隠れして可愛らしさを感じたりもするのです。姉を演じた小林さやかは可愛らしくモテる妹に嫉妬して拗ねるのが可愛らしいけれど、そもそも美人じゃないか、というのはご愛敬。妻吉を演じた松熊つる松はまたコンドルズ風の学ランもカッコイイ。
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