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2016.06.04

【芝居】「女には至らない病」ムシラセ

2016.5.27 19:00 [CoRich]

29日までThe 8th Gallery。(ホテルCLASKA)

男がドッペルゲンガーと会うと死んでしまうという噂が流れている街。不倫しているお局OL、ヒモ男と暮らす後輩OL、引きこもりの姉と暮らしているピアノ教師の女、母親の不貞を疑う娘、微妙な距離感の女子高生たち、ドッペルゲンガーと名乗る男に訪ねられる女。

一つの街でゆるやかにつながる女性たちを点描して描かれるいくつかの物語は、「よく似た他人」ドッペルゲンガーというスパイスを所々に挟みながら描かれます。正直なところ、すべてがドッペルゲンガー繋がりというわけでもなくて、どちらかというと、さまざまな世代や背景の女性たちをスケッチ的に描くことが主眼で、それをゆるやかに繋げたり、物語にスパイス的に刺激を与える存在として置かれている、という印象。

女子高生たちのパワーバランスまたはスクールカーストの話が印象的。イケてなかった過去の友人をむげにはできないけれど、あの頃には戻りたくなくて、誰とつきあって上位のスクールカーストに属したいという切実さに溢れていて。そんなしがらみにとらわれず、軽やかに自立している一人が颯爽としてかっこいいのも対比として描かれます。

先輩の不倫を笑ってるはずだったのに、ヒモ男に一切合切家財道具を持って行かれるという女、というのは少々唐突にすぎる感じはあるのだけれど、そのひどい状況にたたき込まれたあとの終幕、それまでは隠されていた奥のスペースとその向こう側の夜景を借りた窓、テーブルを囲み笑いあう女たち。いろんな不満や不安や切実さはあったとしても、颯爽と胸を張っていく彼女たちは凛々しく、かっこいいのです。

記憶力がザルなアタシだけれど、ああ、どこかで観たという強烈な印象をを残す井口千穂、ああそうだ、「七の椅子」。不倫OLがペーソスすら感じさせる奥行きがすごい。引きこもりの姉を演じた渡辺実希の美人なのにジャージな台無しさ加減が可愛らしい。

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