【芝居】「いまさらキスシーン」柿喰う客
2016.6.11 17:00 [CoRich]
(2008年初演)、玉置玲央の一人芝居、 柿喰う客のイベント公演に復活。30分。24日まで王子小劇場。
初演と同じ役者。目一杯のパワーを出して前向きすぎる高校生のパワーを打ち出していた印象よりはずいぶん様変わりして、一種の余裕すら感じさせるのです。悲惨な終盤に向けてともかく淡々と進み続ける登場人物を、実に淡々と、時にとても可愛らしく、ときに人をさげすむような鼻持ちならない感じで細かく描くディティールの緻密さ。時折見せるバク転でTバックのパンツが見えてしまうのも、コミカルよりは身体能力やその筋肉に見惚れてしまうアタシはどうかしてしまったのかどうかしら。
終盤のダークさはちょっとした優越感というか蔑む気持ちが人を暴発させる悲劇。 裸にされバットで殴られ、下半身にもバットの感触が、という酷い仕打ちを事細かに描くのだけれど、本人がどう感じていたかという視点で語られ、序盤からずっと続く、いつも変わらない、高いままフラットなテンションで前向きな姿勢が崩れないことと、男性が演じているというコスプレ感があいまって、どこかドライな醒めたように語られる語り口なのです。
終幕はさらにもう一歩。 傷ついても、それでも生きたい、前に進みたいという気持ち。それは立ち止まってしまうと全てが崩れてしまうような 危うさなのだけれど、暗転まではちゃんと立っているというのが凛々しささえ。つぎに照明がついたときに、前に崩れ落ちるようなカーテンコールはその流れとして印象深いけれど、ここで潰えたのかも知れない、という哀しさ。
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