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2016.05.16

【芝居】「ふたり芝居」ルソルナ

2016.5.6 19:00 [CoRich]

一人の作家による二人芝居を三本で本編70分弱。8日までワニズホール。 ワタシの観た回には終演後にイベントが設定されていましたが「ドレスコード」という名目で販売グッズのTシャツ着用が必須になっていました。

1) テレビドラマ制作会社のオフィス、真っ赤なワンピースとサングラス、大きな帽子で訪れた女は忙しく働いているスタッフの女に、オーディションの結果通知が届いていないという。オーディション通過者にしか連絡してないのだからスタッフは冷たい。10年前にドラマに出演した女は、どうしてもここで出演を勝ち取りたいのだという「どーもー、水島綾乃です!」
2) 引きこもっている女、家族に雇われた家庭教師が部屋にやってくる。引きこもり女を外に1時間連れ出すことができれば、報酬は倍になるのだという。 「突っ込みたい!」
3) 売り出し中のタレント、舞い込んできた仕事は人気番組の雛段席に座って参加する仕事だった。アート担当のマネージャーが同行するが、注目を集めるためには明確なキャラクタを設定して視聴者に覚えて貰うことだという。次の映画のプロモーションのために大物女優が出演するが、きっとその流れならば映画のタイトルに関するトークがあるだろうという結論になる。タレントは「パンダ」から想像して話してみる「僕とパンダとイーノと彼女」

劇場の二人芝居企画の中の一本のようです。今作は全体としては芝居というよりはどこかコントやバラエティっぽい作りを感じさせる構成で演じられます。 「どーもー〜」は同窓会を前に女優と名乗りたいという個人的理由で台詞のある役を勝ち取りたいという熱意。最初はあからさまに上から目線だけれど中盤では卑屈なほどに取り入るようになる落差。終盤は下品であまり気乗りしないような役を渋る女優に前に進めと力づける前向きな話。

「突っ込み〜」は、引きこもりの女のところにやってきたヤンキー風の家庭教師、外に連れ出せばバイト代が倍になるというモチベーション。序盤の雰囲気で、すわあの話(togetter)の繋がりでそれを肯定するような浅い話なのか、あるいはそれを批判するような社会派かとおもえばどちらもでもなく。が、いろんな方法で連れ出そうとするが、探っていくなかで、お笑いという共通項を見つけてどちらが書いても突っ込んでもいけそう、というバディ感がでてくる終盤近くで物語が駆動される感じは見ていて気持ちいいのです。

「僕と〜」は前の二つと比べると一ひねりが効いています。雛段タレント、他の出演者を台本で確認しながら、大女優が不釣り合いなほどの小さな映画に出るという、そのタイトルから連想してバラエティで目立とうというブレストが続きます。自分の別れ話とか、声色で笑わせたり、「二回か三回ヤられて逃げられるのが切ない」などで笑わせたり、ホラー風味などを挟みつつ本筋を悟られないようにかあちこちに枝分かれさせていくのです。終盤に至り、タイトルの理由、その女と出て行った男の話がぴたりと繋がる快感。ちょっとあからさまな感じなのはまあご愛敬なのです。

終演後のイベント、ちゃんと確認していなかったけれど単なる初日乾杯イベントかと思えばグッズ販売を組み合わせるのは巧く考えたなあとおもうけれど、まあ、そこまでは付き合いきれないアタシです。その違和感は他にもあって、PV風味のオープニングの高度さ、コント風にほぼ客席を向いて喋るシーンが多いこと、CoRich登録を劇団がやっていないこと、あるいは事前の情報に作演がないなど、どことなく芝居の出自というよりは映像の雰囲気を感じるのです。全体に軽くて見やすくていい芝居では、もちろんあるのだけれど。

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