« 【芝居】「ジレンマが嗤う」神奈川県演劇連盟プロデュース | トップページ | 【芝居】「黒い二、三十人の女」Ne`yanka »

2016.05.01

【芝居】「Gliese」ピヨピヨレボリューション

2016.4.24 15:00 [CoRich]

ワタシは初見の劇団。蒲田駅からちょっと離れた劇場にきっちりセットを建て込んで一ヶ月のロングラン公演。ミュージカル仕立ての80分に10分の休憩を挟んで30分のイベントをで構成されています。アタシの観た24日昼は主宰が事務所の先輩というお笑いのキャイーン(!)をゲストに迎えて。

街角のポートレイトを撮られるも雑誌には載らなかった少女。載りたいという強い想いで読者モデルのオーディションに応募し、合格する。その雑誌は完璧な美を是とする編集長のもと、美しいカリスマモデルを擁している。初めての撮影で乗ったロケバスは遙か彼方の惑星へと向かう。編集長が所有するその星は編集長の理想がそのまま具現化する専用のスタジオになっていた。
一年が経ち読者モデルは手が届きそうな親しみやすさで読者にもスタッフにも人気を博す反面、カリスマだったモデルは美しいが表情が冷たいと人気が落ちてくる。編集長はそれでも娘であるカリスマモデルを推して雑誌をそのまま維持しようとするが、当のカリスマモデル自身も、この生活に嫌気がさしているという

短い時間に物語をわりと詰め込んでめまぐるしい物語。ミュージカル仕立てではあるけれど、シーンの切り替わりや楽曲そのものを適度な短さと量に抑えることで、ミュージカルがイマイチ苦手なアタシですが、楽しく。 劇団が謳う「ライブstyle演劇」は、 ミュージカルとも現代的な演劇ともちょっと違う味わい。 楽曲こそ確かにイマっぽい感じだけれど、全体の雰囲気はセットの印象もあってか、 どちらかというとバラエティーショーの中の一本という味わい。モノは全く違うのだけれど、ドリフターズや吉本新喜劇に新しめの音楽を混ぜて、前向きかつSFテイストにジュブナイルな物語を描いたという印象、と書いてしまうと何のことかサッパリ判らないけれど、確かに敷居は低くて、(演劇もコンサートも含めた)ライブを観て体感した、という実感は確かに得られるように思います。

ロングランは功罪あると思います。アタシの観た週末昼は満員でしたが、平日の動員はきっと厳しかったんじゃないかとも思います。が、芝居を観て評判を聞いて、あるいはリピーターが友人を連れて(しかもその時点で前売り完売じゃないことも必要で)、というサイクルを成立させるには一ヶ月ほどの期間はやっぱり必要な気もするのです。千秋楽に感想が間に合わなかったアタシがいっても説得力ゼロですが。 コントと芝居の中間のような仕上がりは芝居を見慣れない広い客層にこそ気軽にリーチするよう。しかも、歌も踊りも、物語も役者もわりときっちり作り込んであって(あるいはほぼ一ヶ月を経ての成長か)、わくわくと楽しくなるのです。

主人公、妄想癖の女子があれよあれよと読者モデルになってカリスマになっていくという成長の物語はシンプルで判りやすい。漲るようなパワーで走りきった東理紗は、可愛らしく、時にコミカルできっちりと背負っていると思うのです。その母親を演じた那珂村たかこは、実は初めて拝見するけれど、ある種のヒールをきっちりと締めていて印象的。編集を演じた原田康正は、翻弄される中間管理職の悲哀をベースにしつつ、見極めるべきところの筋は通すという説得力がいい味わい。

カリスマモデルの裏と表の顔を別々の役者に演じさせるというのは演出上の一つの工夫で、親しみやすさと絵に描いたような美人という楽しさ。もっともブスといわれている親しみやすさ側を演じた山崎未来がそうブスでもないのはご愛敬。表になるカリスマモデルパートを演じた真嶋一歌は雰囲気をかっちり。38mmなぐりーず卒業生と現役メンバーを裏表というのが嬉しいのは、まあアングルの楽しさ。

正直、この物語に対して必要な役よりは少々多くつくられていることは否めないけれど、ミュージカルというフォーマットを迫力を持って進めるためには必要な人数という気もします。要らないシーン、というのがあまりないというのはいいな、と思うのです。

|

« 【芝居】「ジレンマが嗤う」神奈川県演劇連盟プロデュース | トップページ | 【芝居】「黒い二、三十人の女」Ne`yanka »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「Gliese」ピヨピヨレボリューション:

« 【芝居】「ジレンマが嗤う」神奈川県演劇連盟プロデュース | トップページ | 【芝居】「黒い二、三十人の女」Ne`yanka »