【芝居】「ラット13」キコ qui-co.
2016.5.2 19:00 [CoRich]
130分。3日までザムザ阿佐ヶ谷。
集合住宅に住む人々の二つの棟。どちらも花見をしている。片方は死刑囚の人々、全ての生活は外の人々にモニターされていて、一人でも望めば死刑が執行される生活を送っている。もう一つの棟は、その死刑囚たちを写し取ったようなネズミたちが、互いを人間と認識するようにされて飼われている。同じ人格が罪を犯さなかったかもしれない。
人間とネズミの交錯する記憶。記憶を移植するという人体実験、死刑囚が冒した罪が徐々に暴かれ、その中で恋をしたりもするが、記憶を操作された状態の恋というココロは自分のものなのか、あるいは上書きされた記憶というか人格によるものなのかが曖昧になっていて。全体としてはややフラットな雰囲気で進む物語。
客席の気温がかなり高かったのと、出演する人数が多かったのもあって、フラットに進む物語を130分というのは少々長く感じたアタシです。もしかしたら何か大切なことを見逃しているかもしれません。 二組のコミュニティが映し鏡だという前提を、当日パンフを事前に眺めてみていればまたもうちょっと違う感じだったのかもしれないけれど、二つのコミュニティがほとんど交わらないので、その対比があるという以上の効果はなかなか厳しい気がします。コミュニティを繋ぐ看守のような役割を担う二人(山田奈々子、 川上憲心)のやり取りはコミカルでもあって、みやすくて好きなシーンが多かったように感じます。 事前の宣伝にしても、当日パンフにしても、ストーリーとして描かれているのは集合住宅の説明や半共同生活といったこと、ネットやテレビがあることなどの生活の中でハツカネズミが見つかることで解れるこの生活の謎、というような体裁で書かれているけれど、これは果たしてどういう意図なのだろうと思うのです死刑囚を自覚している4号棟の人々の視線でないでしょうから、ネズミである13号棟の人々の視点だろうと思うのだけれど、もちろん意図的とは思うけれど、これだけだと少々ミスリードな説明かなと思ったりもするのです。
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