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2016.04.21

【芝居】「ガムガムファイター」きらら

2016.4.16 14:00 [CoRich]

佐藤佐吉賞2015の最優秀脚本賞を受賞した熊本の劇団の東京公演。上京して公演の準備中に地震が発生。 アタシの拝見した土曜昼の回は満員で、開演前の挨拶で客席から拍手が起こるという中での上演。17日まで王子スタジオ1。90分。

広告代理店に勤める四十男は独身貴族を気取っていた。姉からは親の介護への協力が足りないと責められていたが気にしていなかった。ある日同僚達の陰口に気がついてしまって会社を辞めてしまう。住む場所も替えてラブホテルの清掃アルバイトを始め客の排泄物と格闘する。 職場の先輩は中卒でろくに漢字も読めない若いイケメンで仲良くなるうち、家に招かれ姉の作る食事を伴にするようになり恋心が芽生える。 ホテルにはかつて死んだ従業員の霊が出ると云われていて、四十男のアパートに現れ、つきまとう。
いつかは元の職業に戻りたいと思っていた中、かつての同僚に誘われ、この底辺の暮らしを面白おかしくネット媒体に書き始めて人気になり、うまくいくと思ったが。

安定した暮らしから逃げた男が経験する(彼のそれまでに比べたらはるかに)底辺の暮らし。仕事の大変さはあるけれど、その暮らしをしている人々を眺める余裕が出来てくると、いつでも元の暮らしに戻れるという余裕が見え隠れ。人々と親しくするけれど、やがて観察するような視点になっていくのです。 職場の先輩は若くて親切だけれど漢字もろくに読めないだったり、その姉はスーパーのレジ打ちで堅実に暮らしていてきちんとした食事を作ったりするけれどこの姉弟はいい大人なのに、こんなにも小さなアパートにひっそり暮らしていたり、折角の休みに出かけたい場所がかつて暮らしていた(おそらくは楽しかった)生まれ育った町のスーパーの屋上だったりと。些細なことを楽しみにしているということ。 その中で過ごす男は楽しさもあるけれど、たとえば彼女の仕草をずきゅん、と可愛いと云ってたりしても、それは恋心とはちょっと違うペットを観るような視線も混じっているんじゃないか、とあとから思ったりするアタシです。

職場で亡くなった女、はそういう意味では何かのガイドというか妖精というか。不思議な立場の人物を置くことで、説明をさせてみたり、かき混ぜてみたりという物語のリズムが作られます。

コラムを書いて、もうこの生活を抜け出せそうだとおもっていた日に、そのコラムが終わることになり、元の生活に戻れる見込みが亡くなってみたり、女は元の男の元へ戻ることを決めてしまうとか、職場の先輩も客を殴って辞めることになり去っていったり、あるいは亡くなってた女も姿を消して。少しバカにしていた人々だけれど、いなくなると寂しくて、しかしその場所で生きていくということを決心する男の前向きに勇気を貰うのです。

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