【芝居】「緑茶すずしい太郎の冒険」ヤリナゲ
2016.3.26 19:30 [CoRich]
2014年初演作を改訂上演。ワタシは初見です。28日まで王子小劇場。80分。
教員の女、演劇を続けている。同僚の妻ある男と不倫を続けている。実家にすんでいて兄は恋人を連れて家に泊まりに来たりする。姉は「ドーナツ化症候群」という難病で階上の部屋から出てこないが、母親が面倒をみている。
あるきっかけで女は妊娠を知る。男に告げると子供が居ない男は一度は喜ぶものの、出生前診断で姉と同じ症状の可能性を告げられたことを知ると冷たくなる。
現実にあるダウン症候群(wikipedia)をベースにした架空の先天性疾患「ドーナツ化症候群」を物語の中心に据えて物語を進めます。元々のダウン症の、見た目でわかることを頭に載せたドーナツで表現し、あわせて父母には頭に載せたペットボトルで生殖器を思わせてシンボリックな作りにしています語ることの真面目さに対して見た目はあらからさまにコミカルな落差に戸惑うけれど、観たあとで振り返ってみれば、その落差ゆえに深刻な物語をライトに見やすく語るという手法なのだなと気付きます。
不倫の末の子、離婚するといっていた父親も出生前診断の確率的な結果によって掌を返して去って行くのは逃げ道を塞がれるような絶望の気持ち。それでも芽生えた生を産もうという決意の強さ。 喋るときに身体をややくねらせるチェルフィッチュ的な現代口語演劇の見せ方。正直アタシは見ててあまり好きではない演出だけれど、たとえば母親を演じた三澤さき(髪の長さが随分短くなっていて驚いた)の気持ちを絞り出すような切実さ、あるいは決意の強さが見えたりするのは確かに効果があるのだなと思うのです。
妻を演じた中村あさきのクールビューティさが実に美しく格好いい。物語の中では完全にヒールな扱いだけれど、それも美しさゆえに決まる説得力。弟を演じた浅見臣樹の軽い感じが楽しい。その彼女を演じた國吉咲貴のちょっと挙動不審な可愛らしさ。
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