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2016.04.10

【芝居】「新・こころ」フライングステージ

2016.4.2 18:30 [CoRich]

2008年、駅前劇場での初演作 を再演。3日までSPACE梟門(きょうもん)で120分。

先生と私、先生が手紙の中で告白したシーンの外側に、現代の日本語ゼミの人々を置いて、作家自身がそうであったように、「こころ」という物語を、男たちの同性愛という枠組みで「つけいって」解釈する物語は、この作家、そしてこの劇団だからこその真骨頂なのはそのまま。劇場とワタシの席位置が変わったせいか、全体を俯瞰して見るような雰囲気に感じるのは私だけかもしれません。

今さらながら、原作(青空文庫)を少しだけつまみ食いしてみました。そこかしこのせりふを巧みに、しかも同性愛の感情をもった言葉として物語に取り込みます。確かに芝居を先に観てしまうと、青空文庫の文字を追ってもそういう風に読めてしまうというバイアスは善し悪しだとは思います。

が、この語り口、単におもしろいからとか目を引くから同性愛という枠組みで描いたわけではなく、人を深く思う気持ちをシンプルにまっすぐに描くことに対してうまく機能していて、誠実な物語をもう一つの視点で読めるということだとも思うのです。

元々の物語を最大限に引用しようとしているせいか、全体に静かに進む物語。それでも所々に現在の感覚の笑いを挟み込むのは正直、ありがたいアタシです。今作においてはモイラが演じる女学生がものを知らない感じの会話で説明を引き出しつつ、笑いをきっちりとる力が確かで魅力的。 妻を演じた石関準はきちんと育てられた、しかし夫に疑問を言えない時代の雰囲気を背負う女性をきっちりと。大学のもう一人の教員を演じた関根信一はもちろん安定。ことさらに前に出なくても、じっさいのところ、舞台に居る彼を見ている安心感を感じるアタシです。

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