【芝居】「サイクルサークルクロニクル」monophonic orchestra
2016.4.10 19:00 [CoRich]
1年にわたるワークショップを経ての公演だといいます。 11日までAPOCシアター。80分。
大学二年生の四月だったはずなのに、気がつけばまわりはどんどん時間が進んでいく。一人取り残された女はずっと二年生の四月のままだった。そのきっかけは四月のあの日の些細なすれ違いからずっと謝れないことだった。
それぞれの役にやや思わせぶりな「時」にまつわる属性を書いているけれど、基本的には一人の女が取り残されたままにまわりがどんどん大人になっていく、というSFめいた状況と、それを取り戻す物語。少々小難しいかなと思っていても軸がシンプルなおかげで、取り残されずに楽しむアタシです。
何かがひとつこころに引っかかっていると、いろんなことがうつろになってしまって、ふと気がつくとけっこう時間が経ってしまう、という感覚をずっと何年にもわたるスパンに拡大していった感覚にどこか似ていて。 あるいは、じぶんがぼんやり日々を過ごしている間に、まわりはどんどん先に先に進んでいって置いていかれていくという感覚もまた近い感じなのです。
こんなに若くまぶしい人たちの物語ではあるのだけれど、ワタシもどこか身近に感じる感覚なのです。物語ではそのギャップは取り戻すけれど、ワタシは仕事もプライベートもこの十年強そんな感じがずっと続いていたりして、しかもそれが取り戻されることはたぶんなくて(泣)。
それを「小刻みに繰り返す失神」がコールドスリープのように働いて自覚して流れている時間と周囲の実時間の流れのギャップになるのだ、というのはなんか自分もそうなってるんじゃないかという気持ちにとらわれたりするのです。失神は言い過ぎにしても、たとえば周りに興味がもてないとか気持ちを塞いでしまうということを小刻みに、と考えればどことなく説得力を持ってくるのです。劇中で語られる、歳をとれば時間の流れが速くなる感覚もどこかそれに似ていて。
終盤、その突き刺さっていた棘が抜けるように、時間を早廻しするシーン。劇場の構造から役者たちを一方方向に動かし続け、階下を廻ってループさせることで、長い時間の経過、それが戻る過程を効果的に描きます。
取り残される女を演じたレベッカ、取り残され慌てる状況だけれどどこかおっとりした感じに見せるのは、このキャラクタによくあっっている感じがします。
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