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2016.03.04

【芝居】「全然合わない」艶∞ポリス

2016.2.28 13:30 [CoRich]

90分。29日までOFF OFFシアター。

食べ方が汚いと指摘する彼氏は、金に汚い。祖父が亡くなったと聞いて二人は葬儀に列席する。喪主である長男の妻は義姉から香典を預かるが自分の借金返済に充てようとする。誰も知らない怪しい女が居るが最後を看取ったヘルパーだというが、その恋人が金の無心に訪れる。従弟は会社を経営していて羽振りがいい。
その妻が受付をしていたが、香典が無くなったという。

音を立てて食べることが気になる男は借りた金を返せといわれ先日奢ったのはその返済だと言い出したりと金に少々汚かったり、もめるのはイヤだからと無くなった香典を肩代わりしようかという男が借金まみれだったり、ネットショッピングが大好きで借金を抱えて人の金に手をつけようとした女が人に罪をかぶせようとしたり、バンドで必要な金を恋人から無心しようとしたり。「価値観の違い」を描くといえば確かにそうなんだけど、実際にはちょっと狭く、金銭を評価軸にして描きます。節約といいながら高価な車に乗っていたり、家では質素にしてるのに女につぎ込んでいたりと、どこに金を惜しまないか、どこの金は惜しむかというあたりが全体の物語を駆動する力になっています。それは作家自身が当日パンフに書いているそのままな感じでもあって、なるほど、作家自身の腑に落ちる物語を作ったということがよくわかるのです。

最初の方こそ、その「何に金をかけるかという価値観の差で」通すという語り口が少々苦手だったのだけれど、ここまで徹底しているのはいっそ清々しく、実はとてもわかりやすくなってるとも思うのです。

終幕、仲直りしたのかどうか、向き合って弁当を食べる恋人たち。女に対して男が太ったか、と訊く幕切れは「一つ障害を乗り越えたらまた一つ」な感じでコミカルだけれど、アタシの友人が指摘するのは、このシーンだけ、女が、くちゃくちゃと食べなくなっている、と。女が意図的にそうしているのか自然とそうなったかはわからないけれど、なるほど、せっかく寄り添ったのに男は太った?とか訊いてきて、まったくもう、というのは輪をかけておもしろくなる感じで。

彼女を演じた小野川晶、座った最前列ではあまりに近くて緊張するアタシですが、ちょっと汚い食べ方というある種のほつれが親しみやすくていいのです。従弟を演じた鶴町憲はあからさまに作った金持ち感、あるいは裏側の情けない表情、きちんと目を見て、話す感じもあって丁寧でありながら落差をきっちり作る力量なのです。

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