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2016.03.01

【芝居】「ザ・ドリンカー」浮世企画

2016.2.21 13:00 [CoRich]

河鍋暁斎(狂斎, wikipedia)の評伝劇に驚く130分。22日まで駅前劇場。

狩野派で学びそれだけで食えるはずなのに、下野して錦絵や地獄絵などにも手を出し、戯作家たちとの交流も持つようになった画家。 一人目の妻を亡くし二人目も病に倒れたころから、謎の男にとらわれるようになる。それは描いた生首を描いたその男のように見える。二人目の妻を亡くし、男は亡骸を描く。
それから長い間一人だったが、三人目の妻を迎え、人気を博すようになるが、時代が大きく変わる中、新しいものに迎合するばかりでなく、かといって古いものに固執するのでもなく貪欲に進んで行く。

実在の人物・河鍋暁斎(狂斎)の評伝劇を時代劇のフォーマットに乗せて描きます。その男のぶれない、どこまでもクールな熱意を丁寧に描く感じ。仲間とは交わっていて、妻と暮らしていても、どこか醒めた感覚。時代が変わって人々がが変化してもブレない男は、不器用といえば不器用だけれど、あくまでもクールな雰囲気で描くのは作家の持ち味を感じさせます。

正直にいえば大きな事件は起こりづらく、物語はフラットに進むのだけれど、主人公に限らず静かなな中に秘める想いがかいま見える造型によってちゃんと楽しくテンションを持って見続けられるのは、役者たちの確かなちから。

現実に生きた人物を濃密に凝縮して舞台の上に再現するという描き方は、この作家の今までの舞台を観ているとちょっとびっくりします。作家自身の立っている場所から地続きな人々を描くという印象を持っていて、遠い過去の人物を評伝として描くのはずいぶん違う印象があります。もっとも、それはモノヅクリする人である、という点で彼女自身にとっては地続きということなのかもしれません。 当日パンフの言葉によれば、なるほど、この人物に作家が惚れ込んいることが書かれていたりして、たとえば友人の家の本棚を覗くように、作家のナマが垣間見えるようで楽しい。

主人公を演じた伊達暁はどこまでもクール、しかし片隅から離れない闇の部分を奥行き深く。主人公が少々苦手にしている戯作者を演じた松本D輔の破壊力すら感じさせるうざったさ、現実に居そうな感じでもあって強い印象を残します。病弱な妻を演じた四浦麻希、前半のマンガのような造型は珍しいあれれと思うと後半でちゃんと生きた人物に。しっかりと。

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