【芝居】「巨大なウェディング・ケーキ」「ヂアロオグ・プランタニエ」時間堂(レパートリーシアター2016/3)
2016.3.19 18:00 [CoRich]
短編・中編を組み合わせて繰り返して上演していく時間堂のシリーズ、3月。60分ほど。19日まで十色庵。
(2月の横浜に続いて)
「ジアロオグ・プランタニエ」
父と娘、母は家を出た直後。父は自分の浮気がバレたことが原因だというが、母の日記を盗み見た娘は浮気はとっくに気づいていたという。娘はその母が出て行った原因は腑に落ちるが、父はまったく理解できない。
娘は成長しインテリアデザイナーとして成功している。まだ独身だが暮らしている男が居る。彼女は妊娠を男に告げる。
母となった女は、男とは結婚することなく、その男の結婚式から戻ってきた。息子を育てられたのは男が通ってきてくれていたからで。「巨大なウエディング・ケーキ」
「ヂアロオグ~」は、 さえずるような女学生の雰囲気で少女をまとった演出だった2月公演に対して現代のアラサー女子たちの会話に変化。言葉こそ時代は感じさせますが、ああ、この女たちはいくつかの恋を経てきたのだけれど、その上でこの会話かという雰囲気に。しゃべり方ひとつとっても、かぶせるような会話、強い語調、何かをしながらであったり、少々大げさな感じなど、さまざまな演出に加えたちょっとしたことが、私たちの日常の地続きのどこかでありそうな会話に感じられて見やすいアタシです。
正直に云えば、レパートリーシアターで同じ演目を短期間に繰り返すことの意味について、歌舞伎や落語という演者をメインにするわけではないことの多い小劇場では今一つ理解できてなかったアタシですが、なるほど、演出を変えるということで同じ会話が時代も歳もシチュエーションすら違ういろんな場面で起こり得る会話という楽しみ方は一つあるのかもしれません。
「~ウェディング・ケーキ」は、アタシは初見。 妻や母という役割ではない一人の人間としての自分になりたいという気持ちが家を出た原因で、それは母から娘への呪い。娘であった一人の女性が16歳から20年ずつの時間を経た三つの時間でキッチンやリビングでの二人の会話というフォーマット、60分弱で見応えのある物語を描き出すのです。
男を演じた菅野貴夫は最初は父、次に恋人、最後に息子という役で女とは逆に若くなっていく三人を演じます。物語を知らずに見始めると一場の父親は少々マンガのようなのはご愛敬。芸術家である恋人という二場はもちろん身の丈で安定。ここに至って、やっとこの物語の企みがわかるのです。三場ではちょっとヒネた感じの、しかしちゃんと母親への愛情にあふれる息子もきっちり。
「女の一生」よろしく、成長していく女を演じたヒザイミズキ、娘だって仕事をしている女だって、あるいは母親だって経験している大人の女のリアリティ。
この日のトークショーは、ort-dd、たちかわ創造舎の倉迫康史。 芝居の中にあった誰かからの呪いとか、母親が出て行った話だったりという自分の話を暴露しつつ、劇場を維持するということの話がおもしろく。たちかわ創造舎の屋上でバーベキューという来週のイベントちょっとよさげだなあぁ。
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