【芝居】「奴らの影踏む千葉」PANDAJOCKEY+ドリルチョコレート
2016.2.6 15:00 [CoRich]
7日までシアター711。90分。
女を殺したとして、男が取り調べを受けている。
一度は売れたものの低迷し続けている歌手の男。妻も子供も居るが、外に女をつくり家にはたまに生活費を渡すために帰っている。男を支えるため女は風俗で稼いでいる。ふとしたきっかけで男に新曲の話出てくるが、それには条件があって。
一発屋の歌手、家族を捨てて女の稼ぎで食っているどころか、妻とは別れてないし渡している生活費も女の稼ぎだという絵に描いたようなクズ男を中心に進むけれど、それに振り回された人々をデフォルメして、しかし哀しく描く物語。
クズ男だとわかっていても強い想いで離れられない気持ちで風俗で稼いでまで貢ぐだめんず女、あるいは生きて子供たちを育てなければならない母であり妻である女。 全体のアングルとしては、この二人の女の対立の構図。男を仲介にしてそれぞれのシーンをみせたあとに二人がついに対峙する シーンがパワーゲームのような凄みで圧巻なのです。なるほどプロレス。とりわけ、離婚し新たに結婚するつもりならこの子供たちも背負う覚悟はあるのかと静かに迫る母親は実に強い。 だめだとわかっているのにこうなってしまう女たちへの作家の視線は優しいのか、あるいは冷徹なのかわからないけれど、単に可哀想な人にしない奥行きのある人間がちゃんとそこに存在しているのです。
正直に言えば、この男を俳優二人で演じる意図が今一つつかめないアタシです。それがわからなくても魅力と実力のある俳優・川島潤哉と小野ゆたかという二人によって紡がれることで時に冷徹で、ときにだめ男で、ときに我が侭が見え隠れするような効果は確かにあるようにも思いますし、何より贅沢。
刑事を演じた堀靖明はこの世界の中では狂っていない観客の視点をしっかりと、つっこみが得意な役者ゆえに安心で。 娘を演じた後藤飛鳥の素直でかわいらしい小学生女子も年齢を考えればたいしたものだけれど、ちょっとやんちゃな小学生男子を演じた加藤美佐江のパワフルな破壊力は相変わらず凄い。貢ぐ女を演じた徳橋みのりはまっすぐが勝り、しかもああ稼げるんだろうなという説得力もしなやかに。母親を演じた川口雅子が物静かなしっかりとした母。軽薄な社長を演じた櫻井智也の余裕もうれしく。
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