【芝居】「そして母はキレイになった」ONEOR8
2016.1.31 14:00 [CoRich]
再演ですが、ワタシは初見です。 31日までシアタートラム。その後、相模原、松本、兵庫、北海道(9カ所・士別→苫前町→北広島市→富良野→深川市→中標津町→斜里町→北見)。
美しい母は男と家を出てしまい、父親は男手ひとつで喫茶店を営み姉妹を育てたが、その父ももう亡くなっている。姉は独り身で、常連の男と不倫をしているが、転勤先についてこないかと誘われている。妹は結婚していて夫は少し変わったところもあるが、無条件に愛を注いでいてくれるが、夫の転勤を控え、ここは離れることになりそうだ。
ある日突然母親は戻ってくる。あのときの美しさが変わらないまま。
美しい母親の30年ぶりの再訪。父親はすでに亡くなっていて、姉妹も感動の再会というにはあまりに時間が経ちすぎていて。母親は美しいけれど、どちらかというと男にだらしない造型で、共感できるような雰囲気ではなくて、観客にとっての視座は姉妹とかつての父親にあると思うのです。
ネタバレかも。
愛した女ではあっても、父親が最優先に選んだのは娘たちを傷つけないこと。そのための嘘はあまりにファンタジーだし、プロジェクターで映し出される映像、とりわけ砂浜で海に向かい何かを待っている子供の頃の姉妹の雰囲気もいいけれど、 じっさいのところ、当の娘たちは実はたいして信じてなくてというのもまたリアルな感じでいいのです。母親、それまではだらしなかったとしても、嘘を本当にするかのような行動は長い時間に対しての償いなのかとも思ったり。
看板の女優二人を全面に。姉を演じた冨田直美は表面的に柔和だけれど心の奥では母親を受け入れていない固さ、妹を演じた和田ひろこは反対に頑なに見えて気持ちは母親に甘えたいような、合わせ鏡の二人をしっかりと。父親を演じた山口森広は、どこまでも優しい雰囲気だけれど、たった一つ、娘たちときっぱり母親を切り離そうという強い意志のシーンがいい。となりの幼なじみの酒屋を演じた瀧川英次は、軽薄に成長したどこかうさんくさい感じも、姉妹たち含めあからさまに無理筋な小学生のシーンも実に楽しい。
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