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2016.01.11

【芝居】「珈琲法要」ホエイ

2015.12.31 22:00
[CoRich]


2013年初演作ですが、アタシは初見です。大晦日の公演となる初日は、劇中で使用される口琴(ムックリ)の演奏やふるまい酒・蕎麦などの年越しイベント付きでした。6日までアゴラ劇場。

江戸後期、ロシアからの蝦夷守備のため斜里に送られた津軽藩士たち。想像を絶する寒さと栄養失調の中、手足が腫れ上がる病にかかり次々と亡くなっていく。

二つの布団、二人の津軽藩士、一人のアイヌ人で描かれる物語。現実の事件をベースにしつつも、wikipediaの記述によればタイトルにある珈琲の配給の時期はずれているようにも思います。もっとも「カラビナ」とか「津軽のリンゴ」などこの時代にはないものを嘘として丁寧に織り込んだりして現実に根ざしながらもフィクションとして描かれているのは巧い編集。

過酷な現場で働く人々、日々の楽しさはあっても、絶望の中でしかし生きていかなくてはならないと命じられた人々、しかもそれに従うという従順。現地人ですら冬は住まないという場所を知らないままに突き進んだ無策が生んだ悲劇、そのことに箝口令を引くこと。時代は進んでも、絶望的な時間がかかるアレが頭に思い浮かんだりするアタシです。

この時代は実はしっかりしていたな、というのは記録がちゃんと残っていて、時間がかかっても後世ではきちんと検証できるということ。振り返って、私たちの時代は果たしてどうなんだろう。そもそも紙じゃない怖さもあるし、隠したまま破棄しようとしている人々も多いし。

年越しイベントではきちんと暖かい蕎麦と、さまざまな酒の振る舞い。少しぐらいお金取ってもいいんじゃないかという充実度。井の頭線もJRも終夜運転だから帰りたいときに帰れるのもいいし、なんだったら夜明けぐらいまでいてもいい、という大盤振る舞いがうれしい。劇中使われているのと同じ楽器・ムックリは見た目とは裏腹に結構難しく、振動は何とかさせられても音まで行かない。amazonで売ってるっていうしちょっと買っちゃうか(笑)



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