【芝居】「浮游」monophonic orchestra
2015.12.27 17:00 [CoRich]
2012年初演作を、男女を変え物語も大幅に変えての上演。90分。27日まで。キッドアイラックアートーホール。千秋楽の追加公演のおかげで時間があいました。
「先生」とよぶ親戚の男と暮らしている女。そこに海外から訪ねてくる友人の男は、女の以前の恋人と共通の知人だった。女の恋人は海外での生活のあと行方がわからなくなって7年が経つが、両親は住んでいた家も部屋もそのまま持ち続けている。天災により帰国できなくなった男はこの家で一緒に三人で暮らし始める。
体温が低そうな静かな会話劇。いなくなった男をまだ想う女、その女を想う訪ねてきた男の少々奇妙な三角関係にもうひと味、男女の関係ではないという男を加えて不思議な雰囲気で物語は進みます。静かな会話だけれど、深夜のラーメンとか少々からかうような関係があったりして、どこまでもフラットである種のリアルな人物のありようを造型しようとしているよう。
女が同居する理由が男を「監視すること」であったり、文字起こしが必要なほどの講演会の音声データであるとか、それぞれのピースは少々唐突な感じもするし、それが必ずしも物語に寄与するわけではなくて、あくまでフラットに会話を続ける人々を繊細に描くのです。小さい空間だからこそ生きるような話だな、と思うのです。
これをどう楽しむのかは、かなり人それぞれになりそうな気がします。アタシは女優を手がかりにみるけれど、芝居全体を優しくつつむ空気はきっと、この作家が、信頼できる役者と作り上げるミニマムな空間だなぁとも思うのです。
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