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2015.12.19

【芝居】「みみずく ハザードマップ」菅間馬鈴薯堂

2015.12.12 15:00 [CoRich]

13日まで、ワンズスタジオ。75分。

男は頭に受けた衝撃で働くことができず、父は死んでいて母と姉は深夜の交通誘導員のバイトで生計を立てている。二人は道路工事のある場所で車を左右から走らせてその間を走りきれば頭が治ると信じている。

村上春樹「貧乏な叔母さんの話」、村上龍「走れ!タカハシ」をインスパイアしているといいます。もちろん物語をなぞるのではなく、目立たず地味に暮らす市井の人、暮らしの逆転を何かに託そうする気持ちという二つの要素で新たに紡いだ物語。ごくシンプルで少々ファンタジーな主軸の物語、そのまわりに交通誘導員のアルバイトたち、結婚を意識して中年になって正社員を目指したい男、お笑いを目指すアルバイトの若者や、遊園地のプールで泳ぐアラフォーの女たちなど、それぞれ切実に生きる人々を少しばかりコミカルでファンタジーに描いて全体を作ります。

新しく買ったスマホの操作がわからないけれど、脇でみていてあれこれいってくる人々を「教えたいのか知ったかぶりなのかどっちなんだ」といらつく感じだったり、プールなのに「泳げるやつはあっちにいけ」。自分でそれは理不尽だとわかっているけれど、そういいたくなる気持ちがわかってしまうのは自分も年を食って、理屈に合わない怒りの種が生まれることがあるという自覚なのはかなしい。

中年に近づきつつある女たちがプールで泳ぐシーンが好きです。決してスタイル抜群とはいかないけれど、それを眼福と思っちゃうのもまたおやじの階段登り続けるあたしか。女としてうまれて、職場で性的に理不尽な目にあうこと、あるいはおそらくは生活のために見知らぬ男に抱かれてわずかな金をもらうことをさらりと。深刻なことだけれど、それとして生きている女たちは力強いけれど、それじゃいけないんだよなぁ。

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