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2015.12.28

【芝居】「食卓全景」intro

2015.12.19 14:00 [CoRich]

高校の昼休みをトイレの三つの個室で過ごしていた三人は春・夏・秋を名前に持っている。母子家庭だった共通点もあり顔もあわせないまま仲良くなって、就職を機に一緒に暮らすようになるけれど、やがて三人の父親が同一人物であることがわかる。父が許せなかったりして友達でも姉妹でもない関係になりたいとしてお笑いのユニットをつくるが、東京にでたい一人と残りたい一人、三人が一緒にいたい一人に押し切られる形で地元に残る。父が亡くなるときにもう一人冬を名に持つ妹と引き合わせる。

3+1人の女、2人の男という座組。スクールカースト低位の三人が意気投合して、居場所を見つける序盤は切実な物語。個室にそれぞれ入って、ちょっと会話してというのをそれぞれの個室からで顔を合わせないというのも、ちょっとネット的でもあっておもしろいし、そうするうちに顔を合わせたくなるという気持ちの発露も自然なのです。 この三人が同じ父親の娘で、同じ父親なのにそれぞれからの見え方が違って、嫌いであったり、わからなかったり、そもそも想像に昇らないであったり、という差がそれぞれの人物の造形の深さに寄与しているし、距離をとることはあっても関係が完全に切れるわけではなくて、共に生きていくしかないというある種の「三人姉妹」っぽいさが滲むのもおもしろい。

もっとも、アタシには他人として三人が出会った過程のほうがずっと彼女たちの切実さが描かれているようで、三人が姉妹であるということはその切実さを安いものにしてしまっているような違和感を感じます。 あるいは、 三人のうちの一人が突然骨になり、つまり亡くなってしまうということだったり、それを泣きじゃくることでしか対処できないであったりという終盤。リズムに乗せてみたり、リピートされたりと演劇的なある種のグルーブを感じるけれど、ここまでせっかく物語を積み上げてきたのに、物語よりは雰囲気で描くのは勿体ないな、という気もします。

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