【芝居】「クリスマス解放戦線」渡辺源四郎商店
2015.11.22 19:30 [CoRich]
先代のリーダーが官邸の門松にクリスマスの装飾をほどこしたことをきっかけにした クリスマス禁止令が出て10年。青森の大学生たちは古いスキー宿に集い世間から隠れて革命という名のパーティを開いている。合い言葉をいいながら集う学生たち。 青森県警の捜査の手は着実に近づいてきているが、そのとき、サンタクロースを信じている者への援軍が現れる。
クリスマスという祝祭感あふれるものを、解放戦線という少々きな臭い単語と組み合わせたタイトル。明確に語られているわけではないけれど、亜ふつうに日常としてあったものが「禁止され」たり「無くなったり」されていくということを描いているともいえます。
浮かれたいだけの大学生に見えるけれど、それぞれの想いも立場も、大人たちの思惑も、はてはこの国をどうするつもりかに至るまで、 正直にいって、今年の日本のあれこれが走馬燈のように詰め込まれている感じで、アタシの頭の中では整理がつかずやや荒削りだという印象を持ちましたが、これも今の私たちの姿なのかもしれません。
その中で男がずっとクリスマスを守ってきたのは、戦いに出て行った女性の帰りをずっと待っているということ。が、それを必ずしもハッピーエンドにはしなくて、戻ってはきたものの、捕らわれた女性が戦場という場でどういう目にあわされてきたか、ということをにおわせた終幕はあまりに酷い。
とはいっても、単に深刻な話ばかりでもなく。60年代を少し交えつつ、バブルの頃の(赤プリ、オープンハートとか母親の台詞がいろんな意味でぐっとくる)あの浮かれたクリスマス、だからそれを禁止して「美しい日本」を取り戻すのだというのは滑稽な発想なのだけれど、それが権力を持ったときの暴走もみえるのです。
待っている男を演じた工藤良平は、少々情けない優男の造型だけれど、まっすぐな気持ちが見えるよう。跳ねっ返りの中学生(!)を演じた音喜多咲子のパワーのあるコミカルが楽しい。絶対なる力を持つ女を演じた三上晴佳ももう漫画のように楽しく。母親を演じた工藤由佳子のバブル期を経た感じも、ぐっときます。
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