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2015.11.06

【芝居】「蛍の棲む水」幻想劇場◎経帷子 (第20回まつもと演劇祭)

2015.10.31 10:00 [CoRich]

アングラ路線をずっと行ってきた劇団ですが、少しばかり珍しく現実にリンクをした物語。60分。1日まで信濃ギャラリー。

暇な探偵と助手は、生まれ育ちの記憶のない酒場の女の過去を探す。身につけていた金属片がただ一つのてがかり。

失った子供を捜している老夫婦、あるいは少女の記憶をとどめる、燃やされた人形。

記憶を失ったまま暮らしている女と子供を失った老夫婦という大枠で早々にこの二者の関係は予想がつきますし、 いわゆる北朝鮮拉致家族の問題当てはめた上で、その記憶を失った女にもまた子供が居て離ればなれであることを描くのは、わかりやすすぎるという向きもありましょうが、その見やすさゆえにワタシは結構好きなのです。

封じられていた記憶が廃墟の銭湯のロッカーから解き放たれ、あるいは女が抱えてていた水からも封じ込められていた記憶が蘇り現実になる。そこに理由とか理屈はなくて唐突なのだけれど、それがどうでもいいぐらいにファンタジーを創り出すのです。ホントは違うのかもしれないけれど、アングラという体裁からまさに「幻想」が立ち上り姿を現すのです。

たとえば廃墟となった銭湯であるとか、あるいはマッチ工場の火事、子供が持っていた人形が燃やされてそれが想いにつながっているという道具立てそれぞれがいわゆる「アングラ」の雰囲気をシンプルに見せています。いっぽうで、LEDライト特有の鋭い光を利用した手持ちの照明の効果や、二カ所の扉を使ってスピーディに出捌けするというのは今っぽいリズムでもあり、見やすさに貢献しています。

終幕、女の抱えていた水から現れる少女。まさに「蛍が棲む」かのように想いも記憶もその中に封じ込められていたものが、するりと姿を現すシーンは美しく印象的で、演劇らしいちょっとした仕掛けによる驚きもあって楽しいのです。

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コメント

はじめまして。まつもと演劇連合会の神戸と申します。
突然のご連絡失礼いたします。
現在、まげがみの発行に携わっているのですが、いいもんみたじというレビューページに、またかわひらさんのレビューを掲載させていただけないかと思い、ご連絡させていただきました。掲載をさせていただきたいレビューは、こちらの経帷子のレビューとなっております。
もし、ご迷惑でなければ、添付したメールアドレスまでご返信いただければ幸いです。
お手数かとは存じますが、よろしくお願いいたします。

投稿: 神戸カナ | 2016.03.13 10:59

遅くなりスミマセン。掲載OKです。メールもお送りしますね。

投稿: かわひらよしき | 2016.03.18 01:27

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