【芝居】「オシマイ」ごったに (第20回まつもと演劇祭)
2015.10.31 19:00 [CoRich]
松本の演劇シーンの一端を支える、「ぴかぴか芝居塾」の卒業生たちがさらに続けてきた俳優コース、現在の講師陣による一区切りとなる講演。60分。深志神社。
演じながら台詞で役を奪い合うという演劇による対抗戦。「欲望という名の電車」を題材に競っている。伝説の役者・プロフェッサーの登場により劣勢を強いられるチーム。
子供も出演している割に、かなり性的であったり暴力的であったりというシーンも多かったりしてやや心配にはなりますが、親も参加しているようなのでまあ大丈夫なようです。
アングラというよりはもう少しスタイリッシュな雰囲気を纏う役者や衣装、舞台。能のような語りであったり低い重心での身体が多用され、時にダンスのような雰囲気でもあったりして。そういう意味ではク・ナウカや山の手事情舎のような雰囲気も持っていて、 役者を強く鍛錬することを指向するとこういう雰囲気になるのだなぁと想ったりもします。粗暴な暴力に見えるシーンを多く入れながらも、毎ステージこれを繰り返し、時にスピード感、時にゆっくりな重厚さを持ち合わせた役者たちは程度の差はもちろんあるにせよ確かに訓練されたものだということははっきりとわかるし、それは俳優コースの確かな成果だといっていいと思うのです。
「欲望という名の電車」(wikipedia)という芝居そのものもかなり難度の高い芝居ですが、その外側にもう一つ、「芝居で競技している」という殻をかぶせて構成した物語はさらに難しくしている感もあります。役を取り合っている感じはわかるのだけれど、何をもって役を奪えたのかというルールの部分がわかりづらい(役者の経験があれば違うのかもしれないけれど)のが少々厳しい。さらに、どうして彼らはそんなに疲弊し傷ついているのか、あるいはどうしてそこまでして彼らは演じることをやめられないのかという説得力が欲しい。そういう意味で「田中」を巡る役者たちの連鎖はストーカーまがいの色目だったり芝居に対する熱量だったり、父娘でぐるりとつながる連鎖であったりと、外側の物語として語られるあたりがアタシにはおもしろくて、でもそこが内側の物語とは別のものとなってしまっているのが惜しいのです。
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