【芝居】「男子禁制★殺人事件」演劇裁縫室 ミシン (第20回まつもと演劇祭)
2015.11.1 14:00 [CoRich]
ナンセンスコメディを得意とするミシンの新作。ミステリー風味も交えて盛り上がる60分。ピカデリーホール。
良家の子女たちの集う女学園。学園を支配しているのは財閥の娘。三つの神器を受け継ぎ、時計塔に入ることができたとき正式な後継者となることが決まっている。親戚として引き取られてきた少女は妾の娘として皆からさげすまれていたが、濡れ衣を着せられ懺悔室に閉じ込められていた夜、首のない死体として発見される。
ある日やってきた転校生は死んだ筈の彼女にそっくりだった。
死んだはずの同級生にそっくりの女子学生が転校してきて動揺する生徒たち。
謎に満ちた時計台をもつ女学園を巡るミステリーに山のようにギャグを詰め込んで。 「街からは遠すぎて見えず、その学校の生徒たちからは近すぎて見えない時計台」とか 「莫大な遺産を持つ先代当主・ヤヨイ(一瞬映るスライドは赤い水玉があしらわれていて、松本といえば)」とか、 あるいは大仕掛けのある「首切り時計」 など、どこかナイロン100℃な風味を感じさせる道具立て。 どうやって殺されたのか、鳴ったはずの鐘の音はなぜ聞こえなかったのか、あるいは禁断の恋心とそれに纏わる嫉妬心。あるいは良心ゆえに起きた悲劇という細かなディテールもきっちりと。女装劇というジャンルがあるのかはともかく、まあ足が細かったりむちむちだったりと確かに面白くて。
高い密度でつくられた物語と、ある程度知られるようになってきて期待する客席の温度が織りなすグルーブ感はこの演劇祭の中ではホーム劇団の中でも随一で、こういう盛り上がり方、この数年をかけて徐々に上がって来た階段ゆえのポテンシャルという楽しさというのもまたナマモノの演劇の楽しみのひとつ。
正直にいえば、短い時間の中で詰め込みすぎた感は少々あったり、ワタシが観た回に関して言えば致命的にはならなかったものの、装置がうまくいかなかったということがあったりというのも惜しい。 あるいは役者のスキルなのか、あるいは演出の方針なのかわからないけれど、濃密な物語の力を背負う役者がもう少し居ればきりっと締まるのになと感じたりもするのです。この界隈で動員も伸びて注目を集める劇団だからのこその正念場、なんて観客は気楽に言うわけですが。
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