【芝居】「二等辺三角形 ・ぼくのはなしをきいてください」なゆた屋 1two3 THEATER
2015.11.20 20:00 [CoRich]
20年近く前に「劇」小劇場のこけら落としとして上演された二本の二人芝居の片方を60分、 佐藤達の紙芝居「ぼくのはなしをきいてください」を前後に15分ほどつけてパッケージした二人芝居公演。 夜公演では追加料金で終演後にビッフェ形式の飲食の提供があります。
男の住むマンション、妻と久々に会う約束をした女が訪ねてくる。が、妻は娘を連れて家を出て数日経っている。女はその原因を探ろうという。
男と女、女の間でも専業主婦と働く独身女性という二つの対立軸で構成された物語。20年を経て、先端の感覚というわけにはいきませんが、あまり変わらない人も多い感覚の物語は私たちが20年をたってもごくゆっくりとしか社会を先に進められていないということを思い起こさせます。
初演を観ているのですが、例によって記憶が無いアタシです。 元々の話には携帯電話が登場せず固定電話での連絡というのがベースになっていたようですが、終演後の宴会で訊いたところでは、現在に会わせた作家自身によるアレンジをくわえているようで、なるほど携帯電話・メールが当たり前に使われる風景になっています。が、その結果序盤に大きな違和感を残していて、「妻が家を出たことを知った女が電話しない」、という些細なことが大きな違和感を感じさせるのです。夫からの電話には出ないかもしれないけれど、「親友」からの電話ならでるかも知れないし、そもそも約束をすっぽかされたのだからそれをするのが自然な感覚に思えます。固定電話ならそこにある電話しか使えないし、番号通知という感覚もないからわざわざかけ直すことはしなかったというのも納得なのですが。
いや、もしかしたら実は違うのかも知れません。終幕、電話をかけてきた妻は、その女友達のことを一言も話題に出さないばかりか、それまではなしてきた夫もそれを一言も言いません。女友達はそこに居ない誰か、ということかとも思いつつ。そうなると終幕、一度は出て行った女が戻ってきて男を抱きしめるというシーンがまた別の意味を持ってしまいそうですが。
女友達が存在したとすれば、 女友達も夫もどちらも、それまでこれっぽっちも考えてこなかった出て行った女の抱えていた気持ちを忖度することがなくて、いなくなって初めて彼女が何を考えていたのかについて思いを巡らせるのです。彼女の心配というよりは、自分が何かをしてしまったのか、あるいは理由は自分ではなく相手にあるのか。などぐるぐると。
二つの紙芝居は安心の安定感。動画配信も始まってて、ついつい。
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