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2015.10.21

【芝居】「こんなにもお茶が美味い」ニットキャップシアター

2015.10.17 14:00  [CoRich]

京都のニットキャップシアター。久々、八年半ぶり (1)に拝見します。105分。19日まで王子小劇場。

父の三回忌に、妹は恋人を連れて実家を訪れる。長い介護を一人で背負っていた姉は三回忌で吹っ切れたのか、突然ヌード写真を撮るのだといいカメラマンを呼んでいる。
妹は恋人を近くまで送った夜道で男に突然話しかけられ、お笑いに興味はあるか、と尋ねられる。
兄とその妻はヒマラヤ登山を予定していたが、兄は身体を痛め妻が一人で行くことになる。ガイドからはぐれた妻を案内したのは金髪の男だった。
三回忌から一年。兄とその妻があわてて実家を尋ねる。行方がわからなくなった母親が現れ、そして死んでいるのだという。

シンプルなちゃぶ台と畳だけの舞台、 民族楽器を中心とした生演奏といくつかの仮面で演じられる物語は4つのパートは緩やかつながってはいるけれど、全体を貫く軸を持たない感じ。1つ目で出てきた恋人やらカメラマンやらはそれ以降まったく登場しませんし、兄弟とか家族が物語を背負って貫くかといえば、登場人物を共有してるようにはみえつつも、兄弟のほかは登場しない父の三回忌と行方不明の母親というぐらいで、物語としての繋がりは希薄で、結果として4つの短編集のよう 。

恋人の家を初めて訪れた妹の恋人が引き出しを漁っていたり、ヌード写真を撮るといっていた姉が突然心変わりしたり、そのカメラマンも動物と同じ自然が撮りたいのに(おそらくはアンダーヘアーを)手入されるのは不満だといって居なくなったり、あるいは相方も見つけられないまま独りよがりのコントを夜な夜な見せてくる男だったり、物語の端々に気になったり魅力的な人物を描くけれど、そういう人がいたという 点描でそれ 以上に広がらないのも勿体ない。どうしてそういう行動をするに至ったかを描くのを意識的に避けているようすら思えるのです。

それは中心となる姉妹と母親の関係にしても同じで、誰が殺したかもどこか曖昧で、恨んでいるとはいえるけれど、どうして殺すに至ったかも明確ではなく、そういう人がいる、ということをまるで静止画のように切り取ってみせている印象。

仮面を使ったり、さまざまな民族楽器を役者たちが生演奏したりと、ライブの楽しさは存分に。ロープを天井から垂らした美術も実に美しくて、全体にはアジアテイストなおしゃれな雰囲気と、それぞれのパートにみられる、そういうことがあるあるな共感を描く楽しさ。

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