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2015.10.28

【芝居】「ココノ イエノ シュジンハ ビョウキ デス」日本のラジオ

2015.10.24 16:00 [CoRich]

RAFTの中に出現させた古書店での話、70分。26日まで。終演後には製本された戯曲と写真集を全員におみやげとして配るという大盤振る舞いが嬉しい。

絵本を探してこの店にたどり着いた女。店主は答えて、この店にはないけれど、駅の向こうの書店ならわかるかもしれないと助言をする。店主の妻は視力がほとんどない。店主の妹は嫁いでいるようだ。店主は嫌いだった父の店ではあるけれど、その店を継いでいる。
妻は後日訪れた女性客に好きなものの本がいいと薦めて仲良くなる。お互いに人と話すのが苦手だった二人だが意気投合している。店主は時折記憶が曖昧になる。

静かに進む物語。意識的に岸田國士のような少しばかり古い言い回し。夫婦の間でさえ、今の感覚では少し距離があるような距離感。そういえば現代の話という雰囲気のものもほとんどなくて、そういう意味では時代によらない雰囲気を作り出すことにも成功しています。

視力がほとんどない妻と暮らす夫は穏やかだけれど、家族というものに対してのわだかまりを持っていて、それは子供の頃の父親のひどい仕打ちゆえの嫌悪であったり、あるいは持つべきモノを持たずにきたという欠損感であったり。妻とのおだやかな、しかし閉塞した暮らしゆえに、安心して暮らしてきたともいえるのです。それゆえにそれまでは家に閉じこもっていた妻が友人を得て外出するようになる、という「安定・安心が崩れそうに思える」ことへの恐れが彼の心を大きく揺さぶっていくのです。

結果的には「猿の惑星は地球」と同じようなネタバレのタイトル。が、それは大きな問題ではありません。欠損という意味では、女性客(田中渚)は友人やコミュニケーションが不得手、妻(木村みちる)は視力の欠損、夫(吉岡そんれい)はみえる妹(菊地奈緒)であったり、父親のトラウマか家族を作れないという枠組みの中で、女性客に誘われて外出した妻は一歩を踏み出している光明。夫は置いて行かれる、という焦りを感じる話でもあります。

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