【芝居】「リボーン・チャンス」カムヰヤッセン
2015.10.18 15:00 [CoRich]
主宰を変更してのまさにリボーンな一本。120分。18日までワテラスコモンホール。
背広の仕立屋。母親が跡継ぎに指名したのは社会人野球の夢やぶれて弟だった。5年が経ち母親が亡くなり、遺言書が見つかったが、家を出たきりでコンサル会社の社長になっていた兄がもう一つの新しい遺言書を持って弁護士とともに現れた。
町に古くからある洋品店を継いだ弟の成長譚、それは自分で選び取るということを初めてしただけなのだけれど、成長をしっかりと描く物語の幹がしっかり。兄との確執、母との関係を丁寧に描いてこの家の状況、あるいは社員や町の人たちからこの店がどう思われているかなど、ここで商売をすることの意味 も物語に織り込みます。さらにはパソコン事業売却する電器メーカ(どっかで訊いたようなw)や、社会人野球チームを解散することにした企業の話など、今の日本という時間軸の上で、家族から近所、日本全体までがしっかりと地続きに描かれた舞台の上でしっかりと組み立てられた家族の話でもあるのです。
静かに進む物語かと思っていると、終盤に現れる弁護士がまた一つのイキオイを作ります。チャラチャラした感じ、しかし見るべき事を見逃さない視線の鋭さを兼ね備えた造形のキャラクタ。終幕というか解決に向けての鮮やかな運びは良くも悪くも二時間ドラマの崖っぷちのシーンみたいなたたみかけでこれはこれで面白く。終幕で開くカーテンは引きこもり続けていた妹が外に、それを後押しするのが家業のスーツ、という素敵さを象徴的に。
正直に云えば、人数は正直多い。それぞれの人物を丁寧描いているけれど、物語への関与が少ない役がそこそこあるのは勿体ない気もします。 ただ、この物語、わりとスケーラブルなかんじには作られていて、登場人物を整理さえすれば、物語の骨子としてはたとえば紀伊國屋でも、客層を含めてマッチしそうな感じではあります。
後から現れる弁護士を演じたコロはまさに真骨頂。ちょっとチャラい感じの造形でありながら、大量の台詞をきちんとしかし軽やかに届ける力は圧巻。 社長を演じた小島明之の不器用な実直さがしっかり。幼なじみの経理を演じた、ししどともこは時折観競る恋心が可愛らしくて印象的です。長男を演じた橋本博人も軽さと秘めた物のギャップをしっかりと。
弁護士を演じた工藤さや、ボタン屋を演じた辻貴大など劇団のベテラン勢が脇をきっちり固めるのも安心感。
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