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2015.10.08

【芝居】「鳥取イヴサンローラン」ロ字ック

2015.9.27 14:00 [CoRich]

10月11日まで711。120分。

小田急線下北沢駅近くのスナック。客はそう多くはない。会社をやめて働き出した女。この店のママはもう体を悪くして長い間店には出ていない。チーママ的だった女は店で手首を切って休んでいる。その後店を回している女は手首を切った女と男を取り合っている。元ストリッパーの女は酒と煙草ばかり、愛想もない。大学生の女は頭悪くてといいビッチを公言してはばからない。店を下支えしている女はちょっと地味だけれど憧れている客がいる。アルバイトの面接に訪れた女はフリフリだ。
物静かに訪れる男と、サラリーマン風で騒ぎ、ホステスを口説いてばかりいる男、その同僚だか取引先だか。

水商売。絶対権力者がすでに引退に近づいており、それを引き継いでいたいわゆるチーママが抜けている間にじょじょに露呈する綻び。他人と自分を引き比べ、順位はどこにあるのかをいつも意識するのはもちろんホステスという仕事だから当たり前なのだけれど、自分は一番だと思っていたり、最初からマウンティングを拒否していたり、評価軸が別次元だったり、あるいは年齢というタイムリミットだったり、恋する男は取られたくなかったり。 チーママが復帰して、気が進まないホステスたちと無理矢理の「女子会」を開くに至る中盤でそのほころびがあらわになり混乱し爆発したりもしつつ、しかし彼女たちは生きていて。 言葉は悪いけれど、動物園のサル山をのぞき見るような底意地の悪い描き方ではあるのだけれど オンナというもの、というステロタイプな描き方だと云ってしまえばそうだけれど、バラエティのある役を力のある俳優が支えている物語は確かに見応えがあるのです。

実は男の描き方の方が更に底意地が悪い感じでもあります。とりわけモテ男の幼なじみに対する少々小馬鹿にした物言いだったり、モテを自覚して二股を何とも思っていない感じだったり、あるいは髪の薄い常連客のデリカシーのない空回りっぷりだったり。かといって、ホステスたちに敬意を持つ無口な男が必ずしもモテるわけでもなく。

ストリッパーを演じた遠藤留奈は年齢の高いやさぐれ女というのあんまりと思いつつ、ストリッパーたる堂々たる踊りがほんとに格好良く。傷つけられる女を演じた堂本佳世は以外に少ない印象の静か切ない役をしっとり。ナンバーワンを狙う女を演じた小林春世はなかなか自分の劇団ではやらない役どころに、今さらながら、ああ、ちゃんと大人の女性なのだというのにどきっとしたり。高いテンションで居続ける女子大生を演じた小川夏鈴のなんというか小僧な感じもちょっと可愛らしい。自称アイドルを演じた日高ボブ美はともかくパワフル。パンツが見える大股開きの破壊力がありすぎるというのもどうなんだ。いやらしい中年男を演じた鈴木理学は、基本的にヒールをきっちり演じ切りますが、他の客を見下したことを云ってから次にあったときに小声で謝るという細かなリアリティもきっちり。

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