【芝居】「君をおくる」キャラメルボックス
2015.10.10 14:30 [CoRich]
ハーフタイムシアターのもう一本は東京と大阪だけに設定されています。マンションの一室という共通のセットと、ほぼ同じキャストで演じられる全く別の物語は劇団外の岡部尚子の作を劇団員の真柴あずき演出という組み合わせで。12日まで東京グローブ座、そのあと大阪。
大阪に駆け落ち同然で結婚した女は、自分に相談なく海外への単身赴任を決めた夫を許せず離婚して東京に戻ってきた。引っ越しの荷受けをしている日。先輩の友人に手伝いを頼んだがなかなか荷物は片づかず、娘に会いに来た母親も巻き込んでなんか人手が増えて行く。 が、本来来る友人は遅れて来ることが判明。手伝っているのはいったい。
いろんな意味でなかなかネタバレしがちなはなしです。
かつて駆け落ち同然だったのに最後は見送ってくれた母の姿が理解出来ないまま年月が過ぎた女。自分勝手な決断だとしても、大切な人だと思えるなら待って、「見送る」のだということが腑に落ちて、見送る側になることを選び取ることを決める、という物語を核に。 序盤からかなり長い間、ヒロイン以外の多くの登場人物たちがいったい誰なのかを混乱させながら物語を進めます。それは核となる物語の上に実際に待ち続けて居た人であったり、恋人たちであったり、あるいはあの時見送った母と同じ立場の人物といった他人たちがそれぞれの立場でここに居られるという効果。 コミカルな場面も多くシチュエーションコメディっぽい雰囲気も纏いますが、正直にいえば序盤は足がかりがないまま物語が進んでいくことに少々不安がつきまといます。もっとも中盤でそれぞれの立場がはっきりしてからはその不安は解消されて ヒロインの今の置かれた状況を重層的にこの場に提示する効果もあるし、それを客観的にみせるために「他人」であることはたしかに敷居をさげていますからやめたほうがいい、とも言い切れないわけですが。
送ってくれた人のことの理解、そして自分がそうする立場になること。それはヒロインのひとつの成長の姿でもあって。その見送られる男も母親も役者としては登場させないというのはちょっと面白いつくりかた。
ほぼ同じキャストだけれど、衣装を含め全体的にコミカルな雰囲気がもっと強くて印象が全く異なる、芝居の面白さみたいなものが楽しめるのもまたこういう企画の面白さでもあります。とりわけ、コミカルに目一杯振った岡田達也のもう一つの魅力。原田樹里のぶりぶりな女の子というのも楽しい。
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