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2015.10.07

【芝居】「時間堂レパートリーシアター ワークインプログレス」時間堂

2015.9.26 19:00 [CoRich]

消費しないで深化させていく演劇を模索するというレパートリーシアターのおためし(WIP)企画。ビールでもご飯でもたべながらゆるゆると。最初の二本で60分弱、休憩を挟み、60分弱。

やぎさんと永遠」 (1, 2, 3) (作・オノマリコ) あれ、もっと明確に別れる夫婦の話だったはずなのに、そういう台詞がないなぁと思ってみたら、それはリーディング公演でのト書きだったそう。なるほど。日常の中の小さな死ならぬ小さな離婚を繰り返す萌芽、という見え方に思えてきておもしろいのです。

「熊」(作・A.チェーホフ)公開稽古 (青空文庫) 四場と八場 話を聞いていない女、金を取り立てにくる男、最初はまじめに聞いてしまうのを、二回目は泣きはらし続けることで「聞いてない」を表現する。なるほど。ちょっとふれ幅やりすぎな感あれど、稽古場の試行錯誤の片鱗がわかりやすく見えるようで楽しい。

「言祝ぎ」(作・イトウワカナ)55分。 正月、姉の暮らす実家に妹と兄が帰ってきた。母はずっと前に家を出ている。お節を食べたりするが、父が喉に詰まらせて亡くなって以来、この家ではもう十年をお雑煮を作っていない。妹は結婚していたが去年離婚していて、兄は一緒に暮らす人が居ると告白する。

一周年記念の時に拝見叶わず、ワタシは初めて。 旅公演の中で知り合った作家の作だといいます。 それぞれに訳ありを抱えている兄妹たち、ずっと背負っていたこと、気負っていたことをゆるやかに溶かして、生きていける希望を感じる物語はほっこりと暖かく。 しかもコンパクトに3人、60分で成立させられる芝居は実にポータブルで、わりとどこでも上演できそうなフォーマットでカフェ公演や稽古場公演のような形でも見応えある一本になりそうです。

正直に言えば、それぞれの人物に濃厚なアイテムをこれでもかと詰め込んでいる上に前半は薄めにしているために後半は更に濃密で、それゆえに物語の軸となっている、父が死んでからずっとこうしている姉がほどけるという、いわば泣きどころを素通りしてしまいそうになるのは勿体ない。

時間堂にとっては中堅からベテランの役者三人で演じられるこの芝居はパワーゲームの様相を呈する瞬間もあって迫真なのです。

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