【芝居】「グッドバイ」KERA MAP(キューブ)
2015.10.17 18:00 [CoRich]
太宰治の未完作をケラリーノ・サンドロヴィッチが補完して描く200分。世田谷パブリックシアターを皮切りに福岡、新潟、大阪、松本、を回って神奈川芸術センターKAATで18日まで。KERA・MAP名義での上演はずいぶん久しぶり。
文芸誌の編集長でありながらヤミ商売で財をなした男。妻と子供を岩手に疎開させながら、戦後になっても多くの女たちと浮き名を流していた。が、突然もうヤミ商売はやめ、女たちと手を切って妻子を東京に呼んでまっとうに暮らそうと心に決める。友人の計画に従って女を金で雇って妻のフリをさせ、それぞれの女たちを回って清算することにする。
その女は担ぎ屋で男以上に大食いで言葉も汚いが、ともかく美しい。
美容師、女医、挿し絵描きなどさまざまな女のもとを回る。女たちは傷つき、あるいは冷静に受け入れたりする。妻はもう別の男とともに暮らすことに決めている。
ある日、怪死した男が作家からの原稿や雑誌などがあったことから死んだものと思われたが、記憶を亡くし強制労働させられていたが一年ぶりに東京に戻ってきたところで元の妻のもとにたどり着く。その家では、男に愛された女たちが定期的に集って男に想いを寄せていた。
モテ男が多くの女を抱え、女たちと別れるために雇った女を親しく思い、恋に気づく話、そこにもう一波乱、亡くなったと思われていた男が現れて成就するハッピーエンドは大きな劇場だからこそ映えるのだと思うのです。妻も含めさまざまな職業、さまざまな性格の女たちは楽しい。
それにしても小池栄子が本当にすごい。美しいのに言葉は汚くがらっぱちな担ぎ屋を好演。見た目とキャラクタの落差はある種の出オチだけれど、それをきちんと押し通してしかも説得力のある人物として作り出していますし、時折見せる恋心の片鱗もかわいらしい。 清算をそそのかす男を演じたvの軽さ、クールだけどところどころ隙のある美人を演じた緒川たまき、妻を演じた水野美紀の懐の深さの造形。 コミックリリーフな人物をきっちりと押さえる池谷のぶえ、野間口徹が、ケラ作品には心強い安心感なのです。
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