【芝居】「パンクジェリーフィッシュフロー4AM」あなピグモ捕獲団
2015.10.16 19:30 [CoRich]
二年半ぶりの東京公演。 (1, 2, 3, 4, 5) 。105分。18日までシアター711。
女優の卵。芽がでないままいい年齢で、バイト先でも最年長になっている。人には見えないクラゲ、バイト先に現れる注文しない男の客。女の身体がバラバラになっていくような。
スタイリッシュでファンタジーっぽくて、しかしどこか醒めたような、あるいは何か欠けているものを強く求める気持ち、を描いてきているあなピ風味といという印象は変わりません。 物語を明確に語るというよりはいくつものイメージを断片を示して観客の頭の中で物語を汲み上げるようなスタイル。 鴻上尚史っぽいというのはアタシの感想ですが、 もうすこし抽象度が高い描き方でなかなかついていくのは毎回ハードだな、というのも正直なところだけれど、これもまあ、あなピ節。
芽が出ないまま夢を追い演劇(演劇に限らないけれど)を続けるということ、 もしかしたらあったかもしれない人生、あるいはそれまでの回想かのようなシーンを夢のようにつなぎ合わせていくつくり。死の淵をさまよう女に浮かぶ走馬燈のようでもあるし、よりそってきた男の想いでもあるよう。
夢見て努力してきたといえば聞こえはいいけれど、気が付けばいい歳で姉と暮らしているから何とかなっているが自立しているとは言い難い。 一緒に暮らしてきた姉はずっと演劇をイランモンといって来たのに、 恋人が芝居をやっているというと、そっちはあっさりと手のひら返して支える気持ち満々だったり。 バイト先のみんなは優しいけれど、それは自分に興味がない距離感ともいえるし、そんな素人にオーディションで出し抜かれたりして、と言った具合に、メインとなる女(3人で演じられる)に対して登場人物たちはたとえば家族やあるいは仲間ではあっても、どこか薄皮一枚で距離があるというか、冷たい感じに描かれていたりもします。
後半にいたり、どうも女は事故にあっていたらしいことが示され、更に身体だけでもなく走馬燈のようにそれまでの想いやあったかもしれない未来が自分の中からバラバラになるような感覚で見えている、という構造になっていることが示されます。男が書いてくれた「死にたくない」という言葉を発することで、彷徨っていた死の淵から抜け出る、という終幕、少々ロマンチックに過ぎるだろう、という気がしないでもありませんが、言葉に対してそういう期待をする気持ち、というのは信じていたいなとも思うのです。
立石義江、古賀今日子のギンギラ勢に再び会えるのが嬉しく。あるいはちょっとふわっとした雰囲気のますだようこもいつもの味わい。金曜夜の回のゲスト・関村俊介、ゲストという体裁で登場して「ここがファミレスかー」というダメダメな台詞での小ネタがちょっとおかしい。
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