【イベント】「あの子の飴玉」(月いちリーディング / 15年10月)劇作家協会
2015.10.10 18:00 [CoRich]
今年4月に王子小劇場での上演 (1) を更にブラッシュアップを目指したリーディング×ラウンドテーブル企画。本編120分、そのあとラウンドテーブル60分弱。
当日パンフや終演後のラウンドテーブルによれば、作家はセックスの話というよりは、コミュニケーションの話を書きたいのだといいます。 そのためか、アタシの観た初演の終幕での告白の後を加筆するなど、 元々書きたかったコミュニケーションの話に近づけようとしています。
実際のところ、 コミュニケーションのあれこれを描こうと思っても、性的な話というかヤリマン×処女のような、耳目を集めそうな題材を乗せてしまうと、思いのずれることのままならなさや、細かな心の動きなどまさに「コミュニケーション」の部分はまるで出汁のように、その全体の味を支える力ではあっても、どうしても全面にでるのはいわば濃い味のついた派手で性的な話になりがちだと思うのです。 そいういう語り口の中からコミュニケーションを読みとって欲しい、という気持ちの発露が当日パンフにある「えんぶの劇評」であり、今作の改訂なのだと思うけれど、それはこの物語の迫力とも思える会話のおもしろさ。店長と長女、ポルノ店店員とポルノ観ない男、書店のバイトたち、というカップルたちのものがたりもそれぞれに見所もそれぞれの事情も描き込んでいるのもいいし、筆下ろしの瞬間を動画で撮りたいと思う衝動の理由も描くというのも、それぞれの登場人物に寄り添う作家の誠実さを感じるのです。
女性に対して処女性を求める童貞たちの会話のなかで、処女を「新品」、非処女を(別の誰かの後の自分だから)「中古」という酷い物言いする男たちを、ばっさり、自分たち童貞(まあ処女も実は一緒なんだけど)は、製品はあるのに引き合いがなくてそのまま倉庫に眠って出番のない「在庫」と表現するシーンに舌を巻きます。在庫、っていうのがすごいぴんと来る感じ。もっとも何年も出番がなければ、中古の在庫になってるじゃないか、アタシはとおもったりもしますが(泣)。
ラウンドテーブルでの指摘があったとおり、すべて会話がきちんとキャッチボールされているという意味である種のファンタジーではあります。かといって、今のワタシたちの地続きになっている話でもあって、少々理屈っぽい部分があっても、あるいは言葉に頼りすぎるきらいはあっても、きっちりと作家の語りたいことが出ていて、それを面白くみせるいっぽんなのです。こういう物語を観ると、女性とこれで語り合いたいなと思うけれど、まあそれはそれで微妙な問題ではあります。
毬谷友子 が圧倒的。加減しつつ、ということはあるとは思いつつ、この経験は共演する役者にとっても、観客にとっても、あるいはラウンドテーブルでの役者としてあるいは先行者として、若い役者たちや作家に向き合って投げかける言葉がパーフェクトで、全方位の役者の力を思い知るのです。
姉を演じた大月ひろ美はしっとりと、まっすぐな内側の雰囲気を主にした造型、伝説のヤリマンに見えないというか、何を秘めてるんだという雰囲気ではあります。妹を演じたは光藤依里かわいらしく、しっかりとアイドルっぽさを前面に。女性向けポルノ店の従業員を演じた高木充子は仕事も恋心も真面目な視線に説得力。彼女と恋に落ちるポルノを観ない男を演じた中山朋文もしっかりと受け止めて、二人が価値観をぶつけ合い、わかり合い、敬意を持ち合うというの二人のシーンがほんとうに好きなアタシなのです。
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