【芝居】「唄わない冬」砂地
2015.8.29 19:00 [CoRich]
ストーカー殺人をモチーフにして。8月31日まで雑遊。
男と女が海岸で一緒に死んでいた。事故なのか、事件なのか、あるいは心中かはわからない。
死んだ女がかつて住んでいた別の女の家、今は死んだ女の恋人だった男が転がり込んでいるが、家主からは出て行くように云われている。
対面の客席。床面は対向する二つの角を中心に砂が薄くまかれ、そこにベッドとベンチ。天井近くにはいくつかのモニタ。一人の女を愛する二人の男、その一人と女が一緒に死んでいたことをきっかけにしながら、その女を巡る愛のベクトルをプロットするように物語が進みます。それは、女が若きアイドルだった頃のマネージャーという大人への追慕であったり、あるいは同居する女が想っていることであったり。
ときおり秒針を送るような音が伴いながら語られる静かな雰囲気。役者たちも繊細で丁寧、時に熱い取っ組み合いがあったりはしますが、全体にはフラットで静かに沈んだ雰囲気で進む物語。スタイリッシュではあるけれど、正直にいえば、少々観る側の体力を削られるというか、集中力を持続が要求される敷居の高さがあって、個々人の観るタイミングによってすら評価が分かれそうに感じるのです。
死んだ女を演じた小瀧万梨子は、(オトナロイドのモデルになるほどに)本当に美しく、人々を惑わせるに十分な説得力があります。生きている女を演じた梅村綾子 は、力強く投げつけられる台詞一つ一つの「圧」がすごくて確かな力。マネージャーを演じた松本光生のどこか飄々とした雰囲気は、この物語の世界ではアタシにとっては観るテンションを維持できるという意味でありがたい。いい味わい。
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