【芝居】「女優の魂」チェルフィッチュ
2015.8.29 17:00 [CoRich]
チェルフィッチュの岡田利規による小説の台詞そのままに女優・佐々木幸子が一人芝居で演じる40分。8月30日までゴールデン街劇場。
売れては居なかったけれど、仕事にし始めていた一人の女優が稽古期間中のトラブルで命を落としてしまいあの世をさまよっている時に生前知り合いだった若い芸術家志望の男と再会する。 赤い短いドレス、ティッシュを抱えってmややがに股で現れる若い女。どこか古めかしい「女優」というかボードビルの雰囲気をまといます。
前半は小劇場界隈がどういう世界で、そこで事件はどうして起きたか、さらには役者とか演技というのはどういうことか、という作家の考えまでがコンパクトに語られます。 東京では飲み会が終電でお開きになる、に始まり、役の交代という稽古場で起こり得ること、それが簡単に殺意に変わりうること。あるいは役者が死んだとしても、その代わりなんて簡単にみつかる現実、 役者の記憶というのは身体の記憶であり緊張感というのは、チェルフィッチュの方法論にも繋がるようだし、 役者の中で起きている動機なんてものはどうでもよくて、観客にとってどう見えているかという「効果」の問題なのだとか、動くのは簡単だけれどそれには成否があって、気にしない手もあるけれど、それを精度よく繰り返すことがプロのパフォーマンスである、とか。
死んでさまよう世界が描かれる後半は、役所の行列への不満という卑近なスタートから、かつての知り合いに会い、美術学校のモデルという支点で、演劇と美大みたいな二つの世界の相容れないことをおもしろおかしく描いたりしながら、「どう生きるか」みたいな領域に着陸します。ほかの分野にも目を配るとかしないでしょ、芝居のチラシもらってもいかないし。ええ、もちろん個展の案内もらってもいかないし、なんてのはそれぞれの世界に小さく纏まっている揶揄であったり。生まれ変わるならば、どうしたいという質問。条件は色々付いたりするけれど、同じ道を歩もうという台詞はアーティストとしての何かの覚悟を纏うのです。
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