【芝居】「無頼茫々」風琴工房
2015.9.17 19:30 [CoRich]
2009年初演作をキャスト一新で再演する125分。20日までスズナリ。安保法制が大きく動いたこの日にみたのも印象深い。
例によって、以前の舞台の記憶が曖昧なアタシですが、戯曲そのものはほとんど変更していないのだそうです。扱っている話題もいわゆる「社会派」だし、言論機関たる新聞と政府の緊張関係を描く物語で、お堅くなるかといえば、思いのほかエンタメに。新聞社と主人公の下宿という二つの場所を行き来しながら、はなしている内容は熱い記者の誇りなのだけれど、その場面の転換の演出がものすごい。
ポップでジャジー、軽やかさと重厚さを併せ持つ音楽に乗せて、時に踊り、時に飛ぶように。とりわけ机の使い方は大きな発明です。下宿のシーンでの大きめの座卓の両端に高い足のついた小さなテーブルを合体させること新聞社の大きなテーブルを瞬時に出現させるアイディア。それを支えるかのように舞台奥、二つの場面の背景となる二枚を上下させて幅いっぱいの開口部を作り出すことで人と物の出捌けを実にスムーズに。両脇の壁には天井まであろうかといういっぱいに貼られた新聞柄というのも象徴的で美しい。
元々は明治の人間をモデルに大正時代に翻案し、女性が働くこと、新聞や言論と政治の立ち位置というか関係が大きく変化していく時代、いろいろんなことを詰め込んで、ぎゅっと圧縮。語り手というか解説を間に挟んでいくことで、当日パンフに解説文などを乗せることなく、しかもエンタメの体裁で熱く、しかし深刻なものがたりを深い奥行きを持ってかたる作家の力を思い知るのです。
9年を経て、キャストは一新。最近の風琴工房を支える役者も多く、更に初参加でもそこにワタシが何年も観てきたような腕力めいっぱいの役者を取りそろえた一本は、この劇団のマスターピースにふさわしい仕上がりになっているのです。 板倉チヒロはかっこよく、突っ走る感じが実にかっこよく。桑原裕子はまさかの(失礼)貴婦人だけれど、登場からして格闘しまくりの出オチかと思わせておいて、金を持っているものなりの貧困の現場取材に対峙する矜持を見せるシーンは毅然と。酒巻誉洋は軽薄なほど軽やかにしかししっかりと語り部を、今藤洋子はチャキチャキッだが健気な女をしっかりと描くけれど、コメディエンヌとして凄さがもっとみたかった。下宿の主人を演じた金成均の落ち着き、ぶれない感じがカッコイイ。 杉木隆幸はかつて熱い気持ちを持ていながら心折れたという男の影を哀しく。 永山智啓は軽いというよりは真剣に考えた結果の弱気という造型をしっかり。 たなか沙織は、職業婦人に憬れながらもいわゆる市井の女、終幕の花嫁姿がほんとうに美しい。 川村紗也はちょっと気の強い妹というキャラクタが可愛らしい。
| 2009.5 | 2015.9 | |
|---|---|---|
| 堂海栄吾 | 浅倉洋介 | 板倉チヒロ |
| 村嶋帰一 | 根津茂尚 | 吉増裕士 |
| 高村紅子 | 小山待子 | とみやまあゆみ |
| 権藤進之助 | 青木柳葉魚 | 杉木隆幸 |
| 角本弥太郎 | 地獄谷三番地 | 永山智啓 |
| 福留幸吉 | 五十嵐勇 | 荒木秀智 |
| 島津颯子 | 洪明花 | 桑原裕子 |
| 富永創 | 多根周作 | 金成均 |
| 富永梢 | はざまみゆき | 川村紗也 |
| 宮田多恵 | 津田湘子 | たなか沙織 |
| 原口ちよ子 | 上野理子 | 今藤洋子 |
| 伊澤智成 | 前田暁彦 | 栗原茂 |
| 秋川紫水 | 渡邉真二 | 酒巻誉洋 |
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