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2015.08.03

【芝居】「外交官」青年座

2015.8.1 16:00 [CoRich]

休憩10分を挟み155分。 9日まで青年座劇場。

東京裁判で裁かれる外交官たち。 それぞれの立場と信条とを信じて成し遂げたり、時に信じることを曲げざるを得なかった人々。次のこの国の道を探すために「裁判対策」のために集まる。

パラドックス定数の人気作「 東京裁判」( 1, 2, 3)に繋がる物語。東京裁判が弁護人席で弁護人たちが何を話していたか、という想像の力の物語であるのと同様に、今作では 史実の人々の事実の隙間を見つけて「裁判対策」という(たぶん無かった)場所を設定します。いくつもの場面、時間軸を前後しながら語るけれど、ほとんどの場面が(公式の場所であったとしても)、正式には記録されない楽屋のような場所だったり、その場所のつぶやきであったり、ということを想像して描く野木萌葱節の物語の強さに加え、パラ定では残念ながら成し得ない幅広い年齢層の役者たちで語られる物語の強固なちからなのです。

正直にいえば、真珠湾から終戦にいたるあの時代のことをきっちりとは理していないアタシです。歴史の授業では時間が足りずに教えてもらえず、かといって自分できっちり勉強するでもなく。夏によくある終戦記念番組だったり、いくつかの芝居だったりで概要を、粗い目のモザイクが細かくなっていくように未だに取り入れ続けてるというのもどうなんだ、あたし。

販売されているパンフにある作家の言葉は、パラ定でもよく云う「登場人物たちが自分を導く」ということ。もちろん現実の彼らがどう考えていたかは知る由もありません。その隙間を突き、この状況下で、それぞれの立場の人間が自分の信じるより所をもとに何を考え、どうしようとしていったか、ということに想いを馳せ、説得力ある言葉で紡ぐということが、彼女の作家としての強さで、今作においてもその力はきっちりと発揮されているのです。

もうひとつ、パラ定っぽいのはスーツの男前たち、という魅力です。若者は若者なりに、年齢を重ねた人々は更に、という雰囲気が実にいいのです。ええ、これは青年座による演出なのですが。

「東京裁判」は今年、pit/北区域を離れ、俳優座劇場にてパラドックス定数で上演。 その前に新作一本が予定されていますが、これはタイトルだけではどんな物語になるか想像もつかない「深海大戦争」とはいえ見に行ってしまうのです。きっと。

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