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2015.08.21

【芝居】「206」ヤリナゲ

 

2015.8.14 19:30 [CoRich]

70分にして濃密。16日まで王子小劇場。アタシは初見の劇団です。

三人姉妹がルームシェアで住んでいる集合住宅の一室。三女が酔っぱらって男を連れ込む。長女は怒るし、次女はなだめ、男はこの部屋に通うようになるが、肝心の三女は隣の男の部屋に行ったきり戻ってこない。
元々は家族以外を入れないというルールを破ったことで、いろいろな人々が出入りする。「らくだ星」との戦争に反対するデモをする男たちだったり。ある日、三女を女子高生が訪ねてくる。

フラットな舞台をL字に囲む客席、序盤のシーンは三姉妹の会話、かつてそこにあった建物の話をしたかと思うと、するすると床にロープを張りリビングや三姉妹の部屋などを作りあげます。床にある線だけで部屋を作り出すのは簡単なことなのに実にエンゲキ的でわくわくするのです。

連れ込まれたのに待ちぼうけを食わされる片想いの男から見える三姉妹の姿というのが全体の体裁。が、そこで語られるのは男女の話でもあるけれど、実はもう一歩先へ。この世界で起きている背景を語り、そこにいる人々のさまざまな思いが徐々に見えてきます。 今年の夏だからか、あるいは日本での8月のこの時期に合わせたかどうか、戦争をめぐる気持ちであったり関係であったりをもう一つの芯に。「らくだ星人」は地球においては移民であり差別を受けており、正体を隠して暮らしていて。世の中がきな臭くなっていくにつれ、あからさまな言葉が人々を傷つける、というのはどこかで見たような、あるいはいつか見たような。

三女を演じた中村あさきはクールビューティ、ひどい目にあっても男が通い続けてしまうという説得力。次女を演じたは國吉咲貴この座組ではちんちくりん口調も巧くはないけれど姉妹たちをつなぐという安定感。長女を演じた、あおのゆきかは眼鏡に長髪ジャージという体裁で教師だけれど、何かの欠陥があるという繊細さ。女子高生を演じた永井久喜は物語の中においてはあからさまにヒールな立場をしっかり。片想いし続ける男を演じた浅見臣樹は語り手でもあり、この事件が起きることのきっかけでもあり。客席への語り口の優しさもいい。

ネタバレ

女子高生が三女を訪ねて来て、三女が好きな隣の部屋の住人は長女の同僚教師となれば、どうしたって恋愛のもつれというのが王道ですが、あえて「らくだ星人」という設定を入れることで、実はこの三姉妹がらくだ星人であるということが明かされる場面が圧巻。女子高生はおそらくは教師のことが好きなのだけれど、彼女はどうしたって勝てると踏んだ強烈なヘイトワードを投げつけるのです。三女のことが好きな男はたまたま居合わせて、好きな人を守り、自分の想いを伝えたくて「自分は気にしない」という言葉を発するのだけれど、それは逆に三女を傷つけることになるという切なさなのです。

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