【イベント】「toiroan 十色庵 オープン一周年イベント」時間堂
2015.6.28 18:00 [CoRich]
時間堂のアトリエ、十色庵(toiroan)の一周年記念いベント。29日まで。
最初に主宰・黒澤世莉による挨拶。プロデューサーを得て、アトリエという場所をつくり、全国ツアーするという目標は達成できたので、次の10年の目標を海外ツアー、劇場を持つ、ということに定めるという宣言と、このアトリエでこれからレパートリーシアターを始めるというアナウンス。地域の人がふらりと寄れる場所、ということも視野にあるようです。
このあとは新人による短編、くじ引きキャストによる二人芝居の短編、岸田國士の中編とワークショップ、という構成。
「名医先生」(第二幕第四場「教育」 作・ニール・サイモン)は、新人三人(尾崎冴子、國松卓、穂積凛太朗)による、息子をオトコにしようと、街娼のところにつれていく父親の話。まるで落語の世界のようだけれど、これもまたどこか世界共通なのだなとほっこりする気持ちもあって。父親が値切ってみたりする小市民な感じが面白い。緊張なのか、少々重い感じが感じられて、もっと軽薄に観たい感じがします。が、新人にしてこのクオリティですから、たいしたものです。 「やぎさんと永遠」(1)(作・オノマリコ(趣向))、ワタシの観た回は直江里美、國松卓。 お互いに届いた手紙を食べちゃうからさっきの手紙のご用事なあに、を延々と繰り返す童謡「やぎさん郵便」というわかりやすい大枠に、互いに食べちゃうコミカル、離婚という卑近さ、それなのに静かに会話をする夫婦という日常な感じ、それなのに永遠はあるのか、無いのかというスケールの大きさがさまざまに変化する感じがぎゅっと楽しい一本。 演出ゆえか、どこか岸田國士のような雰囲気をもつ一本になっています。 戯曲は作家のサイトで公開されています。
「驟雨」 (作・岸田國士)(青空文庫)は、嫁いだ妹が新婚旅行から戻るなり姉夫婦の家に来て夫がどれだけ酷いかを訴える、という話。本州の地図を描かせて胡瓜と馬鹿にするとか、夫の友人と宿で偶然出会って呑みに出てしまうなど今でもありそうな些細なことを許せない妹、離婚だけはやめさせようとする姉夫婦。その場に押しとどめて何かをクールダウンさせるかのような「驟雨」が見事なのです。夫を演じた松井美宣はやけに説得力があって印象に残ります。
ワークショップは観客も参加。輪になって、隣の人と人差し指の腹を付け、それを話さないように輪の内側に入ったり出たりというゲーム的なもの。身体のどの部分を動かすことが出来るかを頭で考えて慎重に動かすという体験はそうはありませんから、ついすたーのようでこれはこれで楽しい。
定点を持ち、そこでいろんなイベントができるようにして、場所に手を入れて育てていくということはとても贅沢な空間なのだと思います。いろいろ世知辛い昨今だけれど、そこで、こういうやりかたでやっていこうという心意気がいいじゃないですか。三十周年を迎えたキャラメルボックスが初めて手に入れた稽古場は廃業した自動車修理工場だった、なんて思い出話を最近聞いたりしますから、そういう一歩って大事だよなぁと思うのです。
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