【芝居】「15 Minutes Made Volume12」Mrs.fictions
2015.7.12 19:00 [CoRich]
人気のショーケース企画。3年振りの公演。 14日まで、王子小劇場。休憩10分を挟み全体で130分。
正月、東京に行って帰省してきた男が友達に会う。昆虫を食べさせられていたところを救ってくれた友達の家に招かれる。向かいの保育園がうるさいから子供たちを殺すにはどうしたらいい、と半年が経ち「ミセスフィクションズの祭りの準備」(Mrsfictions)
高校の部活、最後の試合は散々だった。泣いていた男たちを慰めていた女子マネージャーが逆に泣いている。試合が良くなくて疎遠になっていた男たち4人だが、彼女のおかげでまた会えた。「消えないで、ミラーボール」(20歳の国)
町中でエッチな行為が目に余るようになり自警団がパトロールをしている。夜中、牛丼屋で打ち上げて帰路に就くが、その店に入ってきた客は、店員の目の届かないこの店で、性行為を始める。「HNG」(MU)
(休憩)
夏祭りの日、浴衣姿の女の子は前髪を切りすぎたといって初めてのデートにいけないと別の男に駄々をこねている。男は夜店を回って女の子を待っている。「夏の灯り」(第27班)
夏の日、東京から大量の死体が流れ着き続ける町。死体を代表した「死んでるさん」が共同墓地のありかたについて、生きている人と死んだ人との間の相談をとりもっている。
「私たちの考えた墓に入る日の前日のこと」(The end of company ジエン社)
作家の家。貞淑であったはずの妻が信頼していると信じていた男と不貞を働き、家を出ていく。作家は男に、自分の知らない妻の姿ややっていたことを聞き出す。「性的人間あるいは(鞭がもたらす予期せぬ奇跡)」(シンクロ少女)
「〜祭りの準備」は何か鬱屈を抱えた二人の男、一人はかつていじめられていて、でも地元を離れていて。地元に残ったもう一人は、威勢いいことをいっているけれど、結局大人になっていい歳になってもなお昆虫を食べさせられている。理不尽な目に遭っているという鬱屈は家の向かいの保育園への理不尽な衝動へ。ダイナマイトを身体に巻き付けて、はもう漫画な感じだけれど、その鬱屈の深さを感じさせるのです。こう広げてしまった風呂敷、地元を離れていた男の解決策、保育園の子供も守り、しかし鬱屈を爆発させたい気持ちという落としどころが煙草を投げ込むというのが見事だと思うのです。 地元を出て行った男を演じた今村圭佑のラストの煙草のシーンがカッコイイ。 ダイナマイトを抱えた男を演じた岡野康弘は追い詰められたにゆがんで現れた「欲望」の哀しさを細やかに造型。
「〜ミラーボール」は、高校のころの女子マネージャーの結婚式に招かれた男たちの想い。付き合ってたり、慰める関係だったり、一言しか喋ってなかったり。みんなの「ミラーボール」な女子マネージャー、もう僕たちのモノじゃない気持ち。序盤、それを結婚式じゃなくて葬式の話かと思い込んでしまったアタシだけれど、それはまあ、アタシの年齢か。余興で歌う、というのは15分の中では時間の使い方としては勿体ない気はするけれど、一番地味だった男の中に本筋とは関係なく想いがあふれ出す、というのはちょっと面白い。
「HNG」は、大筋で正しそうなことをしてるはずなのに、行きすぎた結果狂っているというハセガワアユム節。セックスを憎みすぎてる兄と、ネットで募った観客に自分の性行為を牛丼屋で見せる妹というねじれまくった兄妹を軸に。牛丼屋、という人が集まる場所なのにワンオペという状態故に場所のコントロールが効かなくなってる状態の場所という設定が見事だと思うのです。しかし人の性行為を見てうはうはして、レビュー書いてネットにあげてというある種の変態な感じは、境界線が違うとはいえ、芝居を見て文書書いてるアタシ自身の姿に戻ってきてます。ヘンタイだよなぁ、アタシ。 狂った正義感な兄を演じた古屋敷悠が印象に残ります。
「夏の灯り」はだだをこねる女と慰める男。でも女がデートしようとしてるのは別の男。慰めてる男はあくまで応援する片想い。女性が実は視覚のハンディキャップを持っていることは、こういう状況でもメールしない「つながりを切る」設定としては巧く機能しているものの、それが物語について大きな幹とか推進力になっていないのが惜しい。雰囲気も素材もいいだけにもったいない。
「私たちの考えた〜」は、トークショーによればどらま館に呼ばれた公演で、死んだとも言えるOBを呼んでどうするんだ、という着想からの物語とか。あるいは現代口語演劇を普通にやるけれど、この手法ではいわゆるキメ台詞が不自然すぎてはめ込めないという弱点があるのを、同時多発の発声の中に埋めるという方法で解決するとか、真剣に考えているということはわかるし、大量に流れてくる死体、共同墓地へのありかたを生きてる人との話だということは分かるけれど、で何を物語ろうとしているかが、さっぱりわからないなぁとぽかんとしてしまうアタシなのです。
「性的〜」は何度か上演( 1, 2, 3) されている代表作の一つ。清楚に見えた妻が浮気相手の編集者には見せた別の夜の顔、嫉妬に狂う夫がどこまでもコミカルで楽しい一本。なんかやけにキメキメなラストシーン、トークショーでいわれたようにまさに「ばーん、という感じ」でまさにラストのキメで楽しい。女を演じた徳橋みのりは目が実に色っぽい。
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