【芝居】「青色文庫 -其弐、文月の祈り」(Aプログラム) 青組
2015.7.12 14:00 [CoRich]
あからさまには謳ってないけれど、戦争にまつわる人々の物語、二つのリーディング。 12日まで、古民家ギャラリー・ゆうど。65分。
大きな国と小さな国、国境に居る二人の兵士。ほぼ人は来ない、二人は毎日を暮らし、過ごしている。二つの国の間で戦争が始まる「野ばら」(wikipedia, 青空文庫)(原作・小川未明)
昭和16年の12月8日、ラジオは勇ましく開戦を告げる。今日一日の日記を丁寧に書こう、と一人の主婦が思う「十二月八日」(wikipedia, 青空文庫)(原作・太宰治)
「野ばら」は、隣国同士なら仲がいいわけはないけれど、その場所に二人きりで、他の監視の目がなければ自然と日常を伴にするようになる、という序盤。戦争が始まり、互いの立場が出来て、互いに相手の利益を考えるという中盤。結果、老兵が残り、そのうたた寝の中で負けた国の若い兵士の影を見るという終盤。人を想うこと、その関係が割かれることの辛さ。声高に戦争反対を唱えなくても、こういう場面がそこかしこにある、だろうという(兵士とはいえ)市井の人々。ごく短い時間だけれど、しっかりと濃密に物語になっているのです。
「十二月〜」は、物語の中の頃の時代に発表された話。どこに真意があるかはわからないけれど、戦争が始まり、高揚する気持ちを持っていた、という「普通の人々」の感覚。少しばかりテキストを足しているようです。他に足したのはwikipediaにある戦後、妻が語った言葉かな、と思います。あとの時代からその無邪気さを笑ったり断罪するのは簡単だけれど、そういう形にはしないことで、いくつかのテキストを足してもリアリティを持っていると思える一本なのです。
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