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2015.06.11

【芝居】「ひとよ」KAKUTA

2015.6.6 18:00 [CoRich]

2011年初演作の再演。 スズナリのあと、7日までKAAT。120分。

スズナリでの上演だけれど、わたしはKAATで。舞台の広さはどちらかというと初演のトラムに似てる感じかもしれません。でも、その空間をうまく「狭くみせるように」使っているのはたいしたもので、すごく濃密な空間が生まれるのです。

物語の骨格をなすのは、流れ者でも仕事が始められる、というのはタクシー会社という舞台、15年という年月を経ての再会、それぞれのいろいろは変わっているけれど、人の根っことか性分はそうは変わらないこと、あるいは変えようと思う気持ち。

ほとんどのキャストが初演からそのままにスライド。微妙にそれぞれの属性を変えているところもあるようだけれど、印象は変わらないのです。 その中で、今回から参加しているキャストも実によくて、異儀田夏葉は登場がほんとうに可愛らしい。序盤の素敵な奥さん風もいいし、中盤の普通に年齢を重ねた女の日常感もいい。社長を演じた久保貫太郎は軽く見せているけれど、人情派、しっかり15年支えてきたのだろうなという雰囲気が男の背中を語ります。

岡まゆみのお母ちゃんっぷりは健在で圧巻の安定。若い男におぼれる中年女を演じた磯西真喜はどこか恰好わるく、一歩間違えばひどく醜くなりそうなところをしっかりと踏ん張り、可愛らしい女の造型。高山奈央子のクールビューティなシーンは久々な気もして、いや、ほんとにかっこいい。離婚を突きつけられる長男を演じた若狭勝也は真面目さの造形を基本に、舞台でわりと長い時間、どもる、という実は役者の生理に会わない気がする役をしっかりと。

しかし、やはり本作を本作たらしめているのはルンペン風情の怪しい男を演じた、成清正紀でしょう。少々卑怯な感じはありますが、笑いもしっかりとり、ほろりともさせ、舞台をかき回すようで物語を推進する力。圧倒的な印象を残します。

 
2011.10 シアタートラム 北九州芸術劇場 2015.5-6 ザ・スズナリ 神奈川芸術劇場
稲村こはる 岡まゆみ
稲村大樹 若狭勝也
稲村園子 桑原裕子
稲村雄二 寺田剛史 伊達暁
丸井進 大山鎬則 久保貫太郎
牛久真貴 高山奈央子
歌川要一 佐賀野雅和
吉永さん 成清正紀
稲村二三子 原扶貴子 異儀田夏葉
友國淳也 馬場恒行 松本亮
木俣日名子 ヨウラマキ ←(四浦麻希)
柴田弓 磯西真喜
堂下道生 まいど豊
 

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