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2015.05.04

【芝居】「ふつうのひとびと」玉田企画

2015.4.26 14:00 [CoRich]

26日まで春風舎。120分。

店長の自宅に繋がっている酒場のバックヤード。 東京に出て行ったこの家の弟は5年も経たず戻ってきている。東京で店を出して大儲けするはずだったけれど、店の改装資金をほとんど出して、貯金もそれなりにためた友人は死んでしまっている。自分は改装資金もほとんど出さなかったし、戻ってきてからもバイトも長続きしない。恋人はこの店で働いていて、店長とも浮気をしている。別の店員が店を辞めるので、送別会を開こうということになっている。

地方の小さな店をめぐる小さなコミュニティ。勢いで東京に出て行こうとはしたけれど、一緒に店を出した友人は資金面でも何でもきちんとしていたのに、きっとこの男は思いつきのようについていったのでしょう。友人の死が何によるものであったかは明確に語られないけれど、借金で追い込まれたのかと思わせる感じ。かといって、生き残った男は少なくとも表面的には何か深い反省をみせるわけでもなく、それどころか自分の生活すらもままならず、ヒモ同然の暮らしをしていることの焦りもみられず。この二人が東京に行く前の様子を間に挟みながら、時間の流れによって代わってしまった状況と、実は本質的には変わってない男の了見というか生き方を対比して描きます。

そうだった、という時間の変化を描いては居るけれど変わらなかったということを描いている物語の軸だけでみると必ずしも強い物語ではないと思うのだけれど、周りにいる人々の細かい描写がいちいちやけに説得力を持っているように思われて、そういう意味で見応えのある一本なのです。弟の彼女に手を出す店長がそれをばれることを極度に恐れる臆病さだったり、後輩が出来てうれしいけれど、やけに童貞っぽい造型で気の小さい男だとか、女に別れを告げられてもそれを受け入れられずに嫌われるのがわかっていても追すがってしまう男とか、あるいは後輩で敬語はむちゃくちゃだけれど頼りになる「使える後輩」にしても、やけに濃密で見応えがある人々なのです。

男の恋人を演じた菊川朝子は、化粧前に居る時間が長くて、恋人の前と浮気の時で変えてみたり、その過程が見えたりと、長く見続けているアタシにはなんかうれしくなってしまう。ふわっとして見えるし、この兄弟に対しての不満はきっと山積してるのだけれど、そこから逃げ出すでもなく、見守る女は天使のようでもあるし、観客にとっては足がかりになる役でもあります。 後輩の店員を演じた飯田一期は、不器用だし敬語もめちゃくちゃだけれど、いわゆる「使える後輩」っぽさがかっこいい。弱気な先輩店員を演じた大山雄史の軽い感じとの対比がいい。ストーカー男を演じた用松亮のフラットな怖さ。店長を演じた吉田亮はちゃんと仕事して生きてる感じではあるけれど、ダメっぽさもあって、なんか親しみやすい。

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